レバンガ北海道に在籍中、多嶋は5人のヘッドコーチの下でプレーしてきた。入団した年のファン・マヌエル・ウルダトHCが次のシーズンの途中で解任されると、代行を務めた水野宏太アシスタントコーチ(現:アルバルク東京トップAC)がBリーグ開幕をはさんで4年間指揮を執った。2018-19シーズンに就任したジョゼ・ネトHCは12月に契約解除となり、内海知秀アドバイザリーコーチ(現:Wリーグ日立ハイテククーガーズHC)が代行。が、翌年正式に発足した内海体制も1年で終わり、昨シーズンは宮永雄太(現:佐賀バルーナーズHC)が指揮官となる。(※今シーズンより新HCに佐古賢一が就任)
「正直、ヘッドコーチの入れ替わりはめまぐるしかったですね。どのコーチも強いレバンガを目指して臨んでくださったことに間違いはないと思いますが、やはりヘッドが変われば求められることも微妙に変わります。コーチが求めることを理解して、自分が何をすべきか考えなくてはならない。コーチに信頼を得るという作業もその都度必要になります。
なかなか勝てなかった8年間について『苦しかったですか?』と聞かれることがありますが、僕は勝てなかったことより(チームとして)思うように積み重ねができなかったことの方が苦しかったです。もちろん、勝てないのは苦しいですよ。負けが続けば気持ちも暗くなります。でも、一番つらいのは『積み上げた感がない負け方』をしたとき。少し乱暴な言い方をすればみんなが共通のチーム像を目指して、ここはこうしよう、こういう練習をしようと戦っているなら1つや2つの負けなんてどうってことないんですよ。たとえ負けてもここは一歩前進している、ここは1つ構築できているという手ごたえがあればその負けは必ず次につながるはずです。
今思っても、宏太さんがヘッドコーチだった数年間は一番手ごたえを感じました。そういった意味でも、これはレバンガを批判しているのでは決してなくて、短いサイクルでコーチが変わり、メンバーが変わる中でチームのスタイルを構築していく難しさ、積み重ねていくことの大変さを感じた8年間だったような気がします」
だが、北海道を去ることになったとき、「ああ、自分はここで育てられたのだなあ」と強く思ったという。選手として得たものはたくさんある。楽しい思い出もたくさんある。