「プロ1年目ということで、ここでひと皮剥ければもっと大きいというか、良いプレーヤーになれると思います」
特別指定選手(宇都宮ブレックス〜レバンガ北海道)として2シーズンの経験を経て、レバンガ北海道のルーキーである山口颯斗は自信を持ってプレーしていた。シュート成功率は27.4%、けっして褒められる数字ではない。2018年1月20日(78-75)以来となる川崎ブレイブサンダース戦(10月24日)に勝利したが、山口自身は3ポイントシュートを1本しか決められなかった。確率が上がらない状況に、本人も悩んでいる。しかし、下を向いてはいない。冒頭に紹介した言葉とともに、「ここ数試合なかなかうまくいってない部分も多いですが、積極的にプレーしなければ次につながらない」という強い気持ちがあった。
69-63で勝利した川崎戦の第4クォーター、残り5分でコートに戻った山口は、最初のプレーで強気のドライブからゴールへアタックする。シュートは阻まれたが、27点/15リバウンドと気を吐いたショーン・ロングがオフェンスリバウンドをねじ込み、リードをキープ。10月9日、惜しくも3点差で敗れた島根スサノオマジック戦では、勝負を左右する終盤に山口が3ポイントシュートを放っている。山口だけではない。他の試合でも中野司や通算1000点を達成した寺園脩斗も勝負どころでシュートを狙う場面が多い。しかし、そこを決めきれずに悔しい思いも味わってきた。
Bリーグにおける日本人選手のシュート試投数は外国籍選手の半分
Bリーグの多くのチームが、外国籍選手や帰化選手をオフェンスのファーストオプションとして起用する。外国籍選手・帰化選手・アジア枠を含めた1試合のフィールドゴール試投数平均9.7本、平均12.7点。その一方で日本人の試投数は4.2本と半減し、得点に至っては平均4.7点と1/3の差が生じている。しかし、ほんの少しだが日本人選手の試投数は増えており、ゴールへ向かっているように感じる今シーズン。北海道はバックコートでプレーする日本人選手に対しても、意識的に得点を狙うように「チームで取り組んでいる」と佐古賢一ヘッドコーチは言う。
「今日もけっして3ポイントシュートの確率は良くなかったですが(5/19本:26.3%)、シュートの確率だけが原因で勝敗が決まると言ってしまえば、それはすごく簡単な話になってしまう。そこに対してどうアプローチをかけて、選手たちが実際にコート上でどう表現しているかということに関して、我々が今シーズン取り組んでいるひとつの部分です」
確率こそ上がってはいないが、山口が先に述べたように「積極的にプレーしなければ次につながらない」。東京オリンピックを見れば、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)、馬場雄大(テキサス・レジェンズ)の海外組3人だけで試投数は130本と圧倒した。出場した8人のBリーガーを合わせて89本であり、その確率も海外組の44.6%よりも低い37.1%に終わっている。佐古ヘッドコーチの言葉を借りれば、シュートの確率だけの話ではない。Bリーグの真剣勝負から、日本人選手たちも試投数を増やすことが求められる。シュートを打つことは、同時に責任を課される。そのプレッシャーの中でシュートを繰り返すことこそが日本代表に求められることであり、日本代表ヘッドコーチが求めてきた正しい状況判断でのプレーが身につくはずだ。