新任のロペスヘッドコーチも、選手たちの特徴を見極めている段階である。同じくバートンも、「今はポイントガードかシューティングガードか、どちらで起用されるのかが定まっていないので、両方のスキルを磨かなければいけない。また、スペインのバスケスタイルもはじめてなので、まだまだ学ぶことが多い。チームのためにアジャストしながらプレーし、コーチのシステムの中で自分の強みを生かしていくことが重要になる」と、まだまだ発展途上である。
学生時代ともに日本でバスケしていたアイザイア・マーフィーからのアドバイス
なかなか結果が出ない状況に対し、バートンは仲間と連絡を取った。バートンは横田基地で中学〜高校時代を過ごし、同い年のアイザイア・マーフィー(広島ドラゴンフライズ)も三沢基地にいた。距離は離れているが、米軍基地内でともにバスケをした仲である。現在5勝1敗でB1西地区2位につける好調な広島だが、昨シーズンは9勝(46敗)しか挙げられなかった。負けていたときはどんな状況だったのか、上向くためにどうすべきかなど、経験者からアドバイスをもらったそうだ。今は交わることのないB1とB2に分かれているが、2017年に行われたU19ワールドカップへ向けた代表候補選手としてともに選出された。バートンは最終メンバーに残ることはできなかったが、「一緒に呼ばれたときはすごくうれしかった」と笑顔を見せる。日の丸をつけ、ふたたび同じチームでプレーするためにもレベルアップしなければならない。
6試合を終え、「常に自分のプレーには自信を持っている」というバートン。自分自身だけではなく、「我々は才能ある選手が揃っている」とチームとして上を目指せるポテンシャルを感じていた。1勝が遠い現状だが、「コーチが要求していることとチームメイトの特徴を理解し、そこがフィットすれば必ず結果につながる」ことを信じ、悩みもがきながらも前に進んでいる。
ロペスヘッドコーチが東京Zに来た理由のひとつは、「若い選手たちを向上させるため」である。「若いチームであり、ミスもあり、時間がかかるかもしれない」という難しいミッションに対し、熱意を持って取り組んでいる。選手同士が積極的にコミュニケーションを取り、みんなで盛り上げている姿に好印象を受けた。タマゴのような彼らが、今シーズン中に殻を破ることができるかどうかは分からない。だが、40分間の戦いの中で、目指すべきプレーが見られる時間帯も少なからずあった。遂行できる時間を増やしながら、彼らがその殻を破ったとき、どんな選手となり、チームがどう上向いていくのか。若いチームだからこそ、1勝さえできれば、その成功体験によって一気に変わる可能性も秘めている。
文・写真 泉誠一