レマニスヘッドコーチは、2019年ワールドカップでオーストラリア代表を指揮し、世界ベスト4に導いた手腕の持ち主。今年の東京オリンピックはブライアン・ゴージャンヘッドコーチが率い、オーストラリアとして初の銅メダルに輝いた。東頭俊典コーチが主催するGBNセミナーに登場したゴーギャンヘッドコーチは、選手たちのリーダーシップを強調し、その戦いを見てもチームワークの良さが伝わってきた。A千葉も同じ雰囲気を感じる。「人柄の良い選手が集まっており、みんながチームのことを思ってプレーしてくれている。良い結果を生み出すためには、良い人たちであることがとても大事であり、そこに期待している」というレマニスヘッドコーチは魅力的なチームを作っている最中だ。
「プロとしての集大成をここで生かせるのではないか」大塚裕土
岡田やレオ・ライオンズ、昇格請負人と化している小林大祐など経験豊富なベテランを揃えた。昨シーズンは川崎ブレイブサンダースの一員として天皇杯を制した大塚も、カテゴリーが2つ下のB3で戦っている。平均15.3点を挙げ、アイシンとの初戦は25点と活躍。ほとんどデータの無いB3での対戦に対し、「しっかり勝つ確率を上げるためにコミュニケーションを取ってスカウティングをしています」と自ら準備して臨む。得点面もさることながら、「B3レベルであれば、しっかりストップしていきたい思いはあります」と相手のエースを抑えるディフェンス力も期待されている。
川崎に残り、リーグ制覇を目指すとともに、「2冠を獲りたい気持ちもありました」という大塚だが、新天地を選択した。Bリーグが掲げる2026年へ向けた将来構想、オーストラリア代表を率いたレマニスヘッドコーチの存在などいろんなタイミングが重なり、「新しいチャレンジをしていこうと思ったのがきっかけです」。TGI D-RISE(※リンク栃木ブレックス下部チーム)からはじまり、様々なリーグやチームを渡り歩いてきた経験を踏まえ、「プロとしての集大成をここで生かせるのではないかと考えました。プレーヤーとして、オフコートでの人間的な部分としても、良い結果が出せるのではないかと思ってこのクラブへの移籍を決めました」と覚悟を持って全てを注入している。
アウトプットするだけではない。レマニスヘッドコーチや新たな仲間たちから多くのことを学び、「プレーヤーとしても成長していきたい気持ちも、もちろんあります」とも話しており、最短で2年後のB1でも通用するためにチームとともにレベルアップしていかなければならない。
次節もホームゲームだが、会場はゴールドジム幕張ベイパークアリーナとなる。「来シーズンはホームの千葉ポートアリーナ開催が7〜8割になってしまうと思いますが、今シーズンは千葉県内のいろんなところで開催されるので、その機会も大事にしていきたいです」と大塚は楽しみにしており、千葉ジェッツに続く新興勢力としてのお披露目試合が続く。
「ここから2週間は練習ができるタイミングであり、しっかりと積み上げていきたい」とレマニスヘッドコーチは言い、11人揃っての本格的な強化がはじまる。B1に挑んだプレシーズンゲームでの川崎戦は、56-91で完敗だった。2週間後、練習と試合を重ねて迎えるA東京戦では、どんな戦いを見せてくれるだろうか。ともに2次ラウンドを勝ち上がった長崎ヴェルカとサンロッカーズ渋谷の対戦もあり、B1基準でスタートした新興勢力の挑戦は注目である。
文・写真 泉誠一