バックコート陣だけではなく、富山戦ではロシターもボールを運ぶシーンが見られ、宇都宮時代と同じようなパフォーマンスを見せはじめている。サイズは、開幕戦からガード陣との息の合ったプレーで、4試合連続二桁得点をマーク。富山戦はいずれも得点とリバウンドでのダブルダブルを達成させたサイズは、好調の要因をこのように話す。
「昨シーズンはライバルでしたが、お互いに特徴は分かっていましたし、ガード陣が僕のことを理解しようとしてくれています。より良い形でプレーできるように、プレシーズン中からコミュニケーションもしっかり取ってきました。長いシーズンであり、今後もガード陣との連係は練習中から一つひとつ積み重ねてアップグレードさせ、より噛み合ったプレーを出せるようにしたいです。ファンの皆さんに、さらに良いプレーを多く見せられるようにこれからも努力するだけです」
2人の加入に刺激を受ける小酒部は、「ロシター選手はゲームメイクもでき、サイズ選手はリバウンドなど泥臭いプレーがすごく強く、チームに良い影響を与えています。まだまだチームとして噛み合っていないところもあるので、試合を重ねるごとに改善していきたいです」と話しており、まだまだ4試合が終わったばかりである。
敗れた富山の浜口炎ヘッドコーチは「見ての通り、もう少し時間がかかりそうな印象がある」というのが正直なところ。しかし、喰らいついていた良い時間帯もあり、明るい兆しも見られていた。新戦力を迎えたり、ヘッドコーチが代わったりしたチームにとっては、コンディションとともにチーム力を高めていく期間が必要となる。1日でも早くこの準備期間を抜けたチームが、チャンピオンシップ争いを引っ張って行くだろう。
緊急事態宣言が明け、A東京のホームゲームでもファンをコートに迎えて行われるアトラクションが復活した。試合後にはアクリル板越しではあるが、新加入のテイラーらがサイン会を行い、少しずつバスケ観戦環境が戻りつつある。もうひとつ、今シーズンのA東京ホームゲームには大きな変化があった。格闘技ファンにはおなじみの “巻き舌MC” レニー・ハートさんが、オープニングでA東京の選手たちの名前を絶叫していた。やっぱりラ行の選手はハマる。ライアン・ロシターも鳥肌が立ったが、一番バランスが良かったのはザック・バランスキーだと感じた。選手入場時の音楽を「PRIDEメインテーマ」など格闘系にすれば、勝手に血が湧きはじめ、選手たちも肉が踊って最高のパフォーマンスを引き出す…かもしれない。巻き舌に釣られるように、筆者の脳内では桜庭和志選手の入場曲である「SPEED TK RE-MIX」が勝手に再生をはじめ、マスクをかぶって登場する選手を期待してしまっていた。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE