ビッグラインナップで挑み、富山グラウジーズに2連勝
昨シーズンのチャンピオンである千葉ジェッツからセバスチャン・サイズ、同じくファイナリストとなった宇都宮ブレックスから帰化枠のライアン・ロシターなどなど大型補強をし、王座奪還を目指すアルバルク東京。ライバルチームからはブーイングさえも聞こえてきそうだが、その期待とは裏腹にアウェーでの琉球ゴールデンキングスとの開幕戦は2連敗を喫した。いずれもA東京がリードしていたが第4クォーターに逆転され、勝利を逃している。第2節、富山グラウジーズを迎えたホーム開幕戦の初戦は96-71で下し、初勝利を挙げた。逆転負けした琉球戦を糧とし、「最初から試合終了のブザーがなるまで我々の流れをキープし、良い勝利となった」とルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチも安堵する。続く2戦目も114-81で快勝し、2連勝を挙げた。
琉球戦からスターターを変更した富山戦は菊地祥平に代わってザック・バランスキー、ケガではないが少し違和感があった安藤周人は大事を取って小酒部泰暉を起用。今夏のオリンピックに挑んだ日本代表と同じく、ポイントガードは192cmの田中大貴が担う。パヴィチェヴィッチヘッドコーチはこの布陣を「ビッグラインナップ」と呼び、サイズアップさせたバックコート陣が積極的にゴールへ向かっていった。初戦での小酒部は11点/7アシスト、この試合では6点に終わった田中だが琉球戦はいずれも13点を挙げ、大きさとともに得点力もあるガード陣がA東京を引っ張っている。
合流が遅れ、まだ1度しかチーム練習に参加できていない新加入のジョーダン・テイラーが、ホームゲームで初お披露目となった。コンディション不足は否めないが、昨シーズンはレバンガ北海道で平均14.6点、13回の20点オーバーをした得点力がそのうちプラスされることになる。
小島元基も得点力あるポイントガードであり、2戦目は14点/9アシストの活躍を見せた。田中、小酒部、テイラーはコンボガードとして、A東京のオフェンスの起点となる。もう一人、仙台89ERSから戻ってきた笹倉怜寿は少しずつプレータイムを与えられながら、B1で通用する力をつけているところだ。インサイドはアレックス・カークをはじめ、移籍してきたロシターとサイズもまわりのチームメイトを生かすことに長けている。チームケミストリーが噛み合ってくれば、大型補強しただけある強さを見せてくれることだろう。
スモールフォワードまで巻き込んでオフェンスを組み立てる3ガードラインナップ
先発した田中と小酒部、ベンチスタートの小島とテイラーを組み合わせながら、いずれもゲームをコントロールすることができ、シュートも狙える2ガードだと見ていて感じた。しかし、パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、もう一人を増やした「3ガードラインナップ」と明かす。1番(ポイントガード)から3番(スモールフォワード)まで「どの選手でもオフェンスをスタートさせることができる意図的なオフェンスシステムであり、安藤周人も小酒部と同じ役割ができる。2人ともクォリティーが高い選手なので、しっかりと遂行してくれている」と評価する。安藤は代名詞となる3ポイントシュートだけではなく、ピック&ロールを使ってゴールに割って入っていくプレーにも磨きをかける。このシステムに対して小酒部は、「チームとしてピック&ロールのセットプレーが多いので、それを使ってゲームメイクすることが多くなっています」と手応えを感じていた。安藤と小酒部にとっては、ポジションアップを意識することなくポイントガードの技術も習得できる一挙両得なシステムである。