「インカレ予選へ向けて2週間前から指導がはじまりました。海外でプレーしていたときに少しコーチした経験はありましたが、日本でははじめての機会になります。年齢も近いので、大学生の気持ちに寄り添いながら僕自身も成長していきたいです。プロとして得た知識や経験を還元しながら、トップチームで学んでいることも同時進行で教えていきます」(酒井コーチ)
「チームを探していたが良いオファーがなかった」という酒井コーチは、選手として引退したわけではない。今シーズンはコーチとして、トライフープ岡山からチャンスを与えられ、「いろんな経験ができる1年にしたい」と新たなスタートを切った。そんな矢先に、環太平洋大学でコーチするチャンスがめぐってきたわけである。アメリカ留学やスペインでプレーした経験とともに、前橋育英高校での体罰問題も踏まえ、目指すべきコーチ像を語ってくれた。
「小学校からプロになるまでたくさんの指導者と出会い、いろんなことを学びました。時代の流れもあって、指導も変わってきているのが現状です。今まで経験してきた良い部分をしっかり還元し、選手としてだけではなく、人間として良い選手たちを輩出できるようにしていきたいです」
岡山出身の大森コーチは、「県内には良いものを持った選手がたくさんいる」と胸を張り、「岡山県内で育ててトップチームにつなげたい」と育成にも励んでいる。環太平洋大学の選手たちにも同じ印象を持ち、「今まで積み上げてきたものに、トライフープのエッセンスを提供することで選手たちの可能性を最大限伸ばす指導を行っていきたいです」と岡山県のバスケ熱を高めていく。
スクールからはじまり、トライフープ岡山U15チーム、岡山学芸館高校、環太平洋大学、サテライトチームで様々なチャンスを与えながら、トップチームにつなげる一貫育成はプロクラブにとっての新たなモデルケースとなる。その価値を高めるためにも、10月2日よりホームの津山総合体育館で開幕するB3リーグで勝利し、トップチームが上のカテゴリーへと進んで行かねばならない。
文 泉誠一
写真提供 トライフープ岡山