選手一人ひとりに対し、細やかな指導ができるコーチ分担制
すでにA東京には、森高大コーチと池田親平コーチのスキルコーチを擁する。3人目として迎えられたことに、この役職の重要性が分かる。これまでのチームでは田中コーチが1人で対応してきたが、「最低でも12人いるロスターに対し、1人でチーム全員のスキルワークアウトをしていくのはとても労力がいる仕事です。それをA東京は分担制にして、少しでも選手たちの個人ワークアウトにおいて、少しでもスキルアップできるように手厚い状況を作っていこうということで、今回お話をいただきました」。スキルコーチが文化として定着しているA東京だけに、「すんなりと練習に入ることができました」と田中コーチは早くも溶け込んでいる。
細かく綿密に準備するルカヘッドコーチをトップに、3人いるスキルコーチへの指示系統については、「基本的には森コーチがスキルコーチングの文化やベースを作ってきたので、彼の手助けをして欲しいと、最初にルカヘッドコーチから言われました」となる。その森コーチからは、「それぞれが持っている知識や経験を3人で話し合いながら、今シーズンのA東京やそれぞれの選手に対して必要なことを具体的に提案し、それを元にチームとしてどこを強化するか、どの選手に何が必要かを前もって話し合い、今まさに取り組んでいるところです」と田中コーチは言い、スキルコーチが三人四脚でチーム力向上に全力を注ぐ。
スキルコーチの役割を、アシスタントコーチやヘッドコーチ自身が担うチームもあるだろう。しかし、NBAやプロ野球を見ても分かるとおり、プロチームにとっては豊富なコーチを揃えて、分担化することはBリーグでも求められはじめている。
「コーチによってはシューティングに対してアプローチしたり、または2on2のピック&ロールのハンドラーに特化したり、細分化することによって選手個々の成長に大きく関わってきます。だからこそ、1人より2人、2人よりも3人とスキルコーチを増やしてくれることは、シーズンに向けて選手たちの成長につながると思っています」
A東京は代表クラスの新たな選手を迎えただけではなく、コーチ陣も補強して王者奪還を狙う。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE