「あとは僕らが勝つだけ」平尾充庸
体が軽く、楽しそうにコートを駆け回っていたのは平尾充庸である。茨城に移籍して4シーズン目、ようやくたどり着いたB2プレーオフの舞台は「負ければ終わりという緊張感はすごくある」と感想を述べた。続けて、「でも、それも含めて良い意味で僕は楽しんでいます」と笑顔を見せる。1戦目は17点・6アシスト、2戦目も18点・4アシストの活躍でチームを勝利に導いた。楽しめている原動力は「会場にたくさんの方が来てくれたことが選手としてもうれしく、モチベーションにもなっています」と言い、ホームを埋めるファンが背中を押し、大舞台でさらなる力を発揮できた。
西地区1位の西宮ストークスを相手に、ワイルドカードの仙台がスウィープしたおかげで、準決勝も茨城のホーム開催が決まった。初戦を突破し、「両手を挙げて喜びたいくらい」という気持ちを平尾はグッと抑え、次戦へと気持ちを切り替えた。
「ファンの皆さんがしっかりと会場の雰囲気を作ってくれて、会社もB1ライセンスを取ってくれました。あとは本当に僕らが勝つだけ。しっかりと結果を求めていきたいです」
準決勝の相手である仙台は、4月21日の越谷戦でルブライアン ・ナッシュが右アキレス腱断裂のケガを負い、外国籍選手は2人しかいない。帰化選手である小寺は、「我々にアドバンテージがある」と認める一方で、「仙台は強い。そのハンデが逆に強さを発揮する可能性もある。自分がやるべきことに集中して準備するだけです」と気を引き締める。
平尾は「インサイドを起点に攻める」スタイルを警戒する。実際、西宮戦の1戦目は、外国籍選手数にハンデがある中でも、44-34でペイントエリア内の得点は仙台が圧倒していた。グレスマンヘッドコーチは、「ベテランも揃っており、規律の取れた素晴らしいチーム。ディフェンスレベルは一流なのでしっかりと対策を練って臨みたい」という決戦は、5月15日(土)からはじまる。
平尾は試合後のコートで、勝利の雰囲気を作り上げてくれたファンにこう約束をした。
「準決勝もホームで戦えることとなり、良い風が吹いていることを実感しています。絶対にこのホームを守り切ります」
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE