川崎ブレイブサンダースのホームゲームにおいて、我々メディア向けに用意されている記者席は、目線がゴールの位置となる一段高い場所となる。帰化枠のニック・ファジーカスを擁する川崎は、さらに二人の外国籍選手を含めたビッグラインナップを武器とする。2mを超える屈強な大男たちが体をぶつけ合う中、178cmの藤井祐眞が優雅に飛び、ボールをさらっていった。「リバウンドなんて、今シーズンは平均2本(平均1.9本 ※4月11日現在)も取れていないですから…」という藤井自身だが、その姿が脳裏から離れない。リバウンドだけに固執することなく、ボールへの執着心など広い意味合いで語ってもらった。
ビッグラインナップのときはリバウンドが僕らの強みになる
── 「リバウンドに対するイメージがない」と仰っていましたが、4月10日の秋田ノーザンハピネッツ戦では5本を記録。映像を見返すと、自ら取りに行っているというよりもボールが藤井選手の方に落ちて来るシーンも多かったです。あれは必然ですか、または偶然ですか?
まずチームとして、ポジショニングにもよりますが、オフェンスではシュートを打った場所によってセーフティーに戻る人が変わってきます。セーフティーのポジションにいなければいけない人が飛び込んでしまったら、相手にリバウンドを取られたときにそのまま走られてしまうリスクがあります。そのような「ギャンブルリバウンドには行くな」というチームルールが前提としてあります。
個人的には、どんなリバウンドにもがっついて行きたい気持ちもあるし、特にオフェンスリバウンドは飛び込みたいタイプです。でも、そこは我慢し、無理に行かないように気をつけています。
もちろん、ボールがこっちに落ちて来そうだなと思ったときや、これは取れそうだなと思ったときは思い切って行くようにはしています。なので、基本的にはボールが来なければ、無理してリバウンドに行くことはないので、必然なのかなと思います。ボールが落ちて来るというよりも、自分の方に来ているボールを取りに行く感じです。
── 佐藤賢次ヘッドコーチは「嗅覚やボールへの執着も藤井選手の特徴である」と話していました。リバウンドだけではなく、ボールを取りに行くことに対する技術的な要素はありますか?
なんですかね……やっぱり気持ち次第じゃないですかね。
あっ!でも、だいたいシュートの軌道を見ていたら、ここら辺に落ちるだろうと分かるときがあります。落ちる位置が予測できたときに、味方や敵がいる中でもこっち側に(ボールを弾いて)チップしてくれそうだな、リバウンド争いになっていればここら辺にこぼれてきそうだな、という感覚が多少はあります。というか、その感覚でやっている部分があります。