Bリーグのリバウンドランキング(4月4日現在)を見ると、当然のごとくトップからズラリと外国籍選手の名前が並ぶ。その中で注目されるのは76位に付ける中山拓哉だろう。3.3本のアベレージは日本人選手としてシーホース三河のシェーファーアヴィ幸樹(4本、71位)に次ぐものであり、同率の竹内公輔(宇都宮ブレックス)とシェーファーがともに206cmであることを考えれば、182cmの中山の名前は一層目を引く。だが、当の本人は「自分は特別リバウンドが強い選手だとは思っていない」と語り、数字や順位に頓着する様子もない。「自分にとってリバウンドはディフェンスやルーズボールと一緒でチームのために貢献できるものの1つ。自分がやるべきものの1つだと思っています」── 。迷いのないその言葉の先にあるもの、中山が考える『選手としての在り方』を聞いてみたいと思った。
自分はバスケットが上手くないんですよ
── 「自分は特別リバウンドが強いわけじゃない」とおっしゃる中山さんですが、試合を通してリバウンドに絡んでいるという印象があります。心がけているようなことがあったら教えてください。
中山 心がけていることは特にありません。強いて言えば『リバウンドは取りに行かなくては取れない』ということでしょうか。あたりまえのことですけど(笑)。リバウンドボールやルーズボールは敵のものでも味方のものでもない、いわば “フィフティーフィフティーのボール” です。僕は東海大学時代に『フィフティーフィフティーのボールは自分のボール』というのを叩き込まれました。だから心がけているというよりそれを取りに行くのはあたりまえだと思っています。Bリーグが大学時代と違うのはゴール下に屈強の外国籍選手がひしめいていることですが、そこに飛び込むことが怖いとは思わないし、ためらうことは一切ないですね。
── 考えるより体が先に動く?
中山 そうですね。体が先に動きます。そもそも僕は自分がバスケットが上手い選手だとは思っていません。そんな自分がどういったものでチームに貢献できるのかを考えたら、やっぱりディフェンスやルーズボールやリバウンドを全力で頑張ることだと思うんです。リバウンドに関してはサイズがあってフィジカルの強い選手が有利なことは確かだし、それに対抗するにはボールが落ちる方向を予測して飛び込むタイミングとかポジショニングとかが重要になりますが、やっぱりさっきも言ったように1番大事なのは『取りに行く』という気持ちだと思っています。そう言うとスキルより精神論かよと思われるかもしれませんが、リバウンドはとにかく取りに行かなきゃ取れないんですよ。たとえば他のチームの日本人選手の中でリバウンドが強いなあと思うのは(サンロッカーズ)渋谷の渡辺竜之佑なんですけど、あいつはいつも積極的にリバウンドに絡んでいきますよね。取ってやる!という気持ちが伝わってきます。特別身長が高いわけでもない(189cm)し、プレータイムがそれほど長いわけではないけど、見ていると(リバウンドの)貢献度が高いのを感じます。