川崎の流れを止めるべく、大野ヘッドコーチは第3クォーターだけでタイムアウトを2回使っている。2度目のタイムアウトを取るひとつ前のプレーで、富樫勇樹は「来いっ!」と大きな声をあげて仲間を集め、ハドルを組んでチームの士気を高める。逆転され、10点リードを許した場面でタイムアウトを取った千葉が息を吹き返す。すぐさま富樫が3ポイントシュートを決め、川崎の勢いを止める。残る2分間は3点差まで追い上げ、55−58で第3クォーターを終えている。敗れはしたが、千葉の自力を感じる第3クォーターでもあった。
「内容的にはひどいものではない」富樫勇樹
千葉は新型コロナウィルス陽性者が出たことで、3月24日の新潟アルビレックスBB戦以降、3週間もゲームから遠のいていた。2週間の隔離生活により練習もできず、体力や試合勘の低下は否めない。もちろん誰一人として、それを言い訳にはしていない。復帰戦となった4月14日のサンロッカーズ渋谷戦から3連敗を数える。しかし、いずれも僅差の敗戦だった。川崎戦での第3クォーターを抜き出しても、些細な部分さえ修正すれば巻き返すことはいくらでもできる。
「もちろん結果は大事であり、3連敗はしっかり受け止めなければいけない」という富樫だが、「内容的にはひどいものではない。シーズン中にはもっとひどい試合もあった」と続けた。これまで積み上げてきたことに対する自信の現れでもある。
「焦る必要はないと思っています。チームとしてどんな試合であれ、勝つことで良いリズムに乗ることもあります。勝っていく感覚というか、負け慣れてはいけないと思うので、次の試合はしっかりと勝ちたいです」
週3試合の過密スケジュールが続く千葉だが、『#いくぜてっぺん』へ向けた準備期間としてプラスに捉えている。3戦2戦勝方式で行われるチャンピオンシップであり、今シーズンはファイナルも同じレギュレーションとなる。もつれれば自ずと3試合目が待っており、勝ち抜かねば終わってしまう。残る9試合は、千葉にとっては良いシミュレーションにもなるはずだ。
川崎は次節(4月24日・25日)、10連勝中と勢いに乗る東地区チャンピオンの宇都宮戦へ向けてアウェーへ乗り込む。千葉は今週のホームゲーム3連戦を経て、4月28日には西地区を制した琉球ゴールデンキングスと新築された沖縄アリーナで対戦する。どちらが東地区2位となり、ホームアリーナでチャンピオンシップを迎えることができるのか。まだまだ2チームしか確定していないチャンピオンシップへの出場権争いも含め、目が離せない。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE