東日本大震災から10年 ── 茨城の地でつながるバスケの絆(B.Hope HANDS UP!)(前編)より続く
地元バスケ協会と一緒に盛り上げよう!
東日本大震災から10年目を迎えた今年3月、茨城ロボッツでは「B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by 日本郵便」を通じたイベントを開催した。伊藤俊亮氏が参加した3月20日はイソザキ自動車が、3月13日にOBの一色翔太氏をゲスト講師に招いたときは茨城県バスケットボール協会がそれぞれ冠スポンサーとなってホームゲームを支えてくれた。後援や運営をサポートすることはよくあるが、バスケ協会が冠スポンサーとなってプレゼンツ・ゲームを行うのはレアケースと言える。プロバスケクラブが行う地域貢献活動に対し、バスケ協会も共感したことで新しい取り組みが実現した。「他のクラブもぜひ協会と一緒に盛り上げてほしい」と願う上原和人GMが、この舞台裏を説明する。
「茨城県バスケットボール協会が、ひとつのクラブのプレゼンツ・ゲームをすることはこれまではありませんでした。コロナ禍によって子どもたちの大会がどんどんなくなってしまい、今年度の3年生にとっては引退試合もできずに終わってしまいました。県内のバスケをする機会を失われた子どもたちのためにも、協会の事業としてクラブと一緒に活動することで実現したわけです。これまで全国のクラブを見ていても協会がプレゼンツ・ゲームをすることはなく、ハードルが高いとも思っていました。しかし、目的やどこに向けてバスケを伝えるかという思いさえ一致すれば、実現できることを感じています」
現役時代はSNSを通じて、多くの企業にバスケの魅力を伝えてきた伊藤氏。コロナ禍となり、広告費が削減されている今だからこそ、「SDGs(持続可能な開発目標)を絡めていくことが大きいです。今はチケットを使って、一緒に会場へ行こうと誘いづらくなってもいます。社会貢献活動を強めていくことは大切であり、このような活動は素晴らしいです」とスポーツの意義にも変化が見られる。「バスケを使った社会に貢献するお手伝いはたくさんできることがあり、そこにスポンサーしていただくことはお互いにとってとても意義のあることだと思います」と伊藤氏は続け、今後もOBとして率先して関わっていく意欲を見せた。
社会貢献活動の活性化で実感するバスケ界の成長
Bリーグができたことで、バスケ環境には大きな変化が見られている。そのひとつが、社会貢献活動が活性化したことだ。10年前、東日本大震災が起きた後、すぐさまチームが支援物資を集め、選手が寄付金サイトを通じて支援を訴えていた。だが、それぞれが独自に活動していただけであり、リーグやバスケ界が一枚岩となって大きな支援のうねりを作るまでには至らなかった。「バスケ業界が普段暮らしている人に対して、何かを届けられるような状況ではなかったと思います」と伊藤氏は当時を振り返る。