「巻き返すためのガマンする力が足りない」前田悟
一昨シーズンこそ、ワイルドカードでチャンピオンシップに出場した富山だが、昨シーズンは17勝24敗(41.5%)で勝率は5割を切っていた。しかし、今シーズンは過去のチャンピオンやファイナリストら強豪ひしめき合う東地区で60.5%の高い勝率でチャンピオンシップ出場を争っている。浜口ヘッドコーチは、「選手たちは非常にがんばってくれている。今の順位も含めて、皆さんも予想していなかったと思う」と自虐的に話していたが、自信を持って戦えていることがうかがえる。
平均88.7点のオフェンス力に対し、SR渋谷の伊佐ヘッドコーチは「リーグNo.1の破壊力」と富山を称した。浜口ヘッドコーチも「我々のストロングポイントはオフェンス力」と断言し、前田が先に挙げたように「黙っていても点数を獲れるチーム」である。しかし、過去10試合は4勝6敗と黒星が先行してしまった。今後の課題点について、浜口ヘッドコーチは、「今はどこのチームも3ポイントシュートを武器にしており、いかにワイドオープンで打たせないディフェンスをすること」を挙げた。前田もチームのウィークポイントは分かっている。
「ここまでは勢いに乗って、点数をどんどん獲ることで勝てる試合も多かったです。しかし、ここから先はシビアな戦いになり、うまくいかないときも多くなると思います。我々は前半で負けているときに、巻き返すためのガマンする力が足りない。そこはチャンピオンシップや優勝を目指すためにも、大きな課題です」
SR渋谷戦はガマンできなかったことが露呈した。ジュリアン・マブンガやベンチから出てきた阿部友和、城宝匡史らベテラン陣が声をかけ、チームを鼓舞するシーンもあったが、巻き返すためのメンタルが足りていなかった。残る17試合でこの課題を改善できれば、90点を獲られてもオフェンスで凌駕できる。リーグNo.1の破壊力はまだまだ底が知れない。
文・写真 泉誠一