今季チームは12勝29敗(3月17日現在)と東地区最下位に沈んでいる。そこにはいくつかの理由が考えられる。最も大きいのは新しいヘッドコーチを招聘し、外国籍選手も3人入れ替えたことだろう。ヘッドコーチが変われば、求められるバスケットスタイルも変わる。新しい戦術を落とし込むのにはどうしても時間がかかる。しかも外国籍選手のなかにはポイントガードもいる。彼の入国が新型コロナウイルスによる入国制限の影響で遅れたことも、細かいところを突き合せられず、苦しんでいる要因である。
上位チームのなかにはヘッドコーチが数年変わらず、外国籍選手を含めたメンバー構成もさほど変わらないところがある。徹底という観点で見れば、レバンガ北海道は一歩も二歩も遅れているというわけである。
だからといって、彼らが勝負を降りるわけではない。遅れた状況の中でいかに勝ちを拾っていくか。チームを奮い立たせられるか。そこに必要なのが桜井のようなベテランである。
「新しいチームになるといろんな問題が出てきます。そのときにまずはヘッドコーチに言われたことを徹底してやっていこうと、チームを束ねていく選手がいないと難しいと思うんですね。一番年長で、経験のある選手がそれをやることによって、戦術の落とし込みなど、やるべきことが簡単になっていくんです。それを今の僕がやらなければいけないし、今の僕の仕事だと思っています」
進んで選んだプロの道とはいえ、毎日練習を繰り返し、毎週末試合をすれば、どうしたって調子の浮き沈み、気持ちの浮き沈みは出てくるものだ。しかし桜井は「やるか、やらないか」しかないと言う。調子や気持ちの浮き沈みを極力なくして、とにかく「やる」。その一点にのみフォーカスして、練習でよりベテランの存在感を示している。
文 三上太
写真 B.LEAGUE