SR渋谷のハードワーカー、チャールズ・ジャクソン
レギュラーシーズン最後の東京ダービーは、1勝1敗の痛み分けとなった。通算戦績は2勝2敗、現在25勝17敗で並ぶ両チームだが、得失点差で上回ったアルバルク東京が5位に返り咲き、ワイルドカードでのチャンピオンシップ圏内を死守する。「今日、勝つか負けるかが僕らの今シーズンにとって本当に重要な試合だったので、勝ちきれてホッとしている」という安藤誓哉の言葉が物語る激しい試合でもあった。
ケガから復帰したライアン・ケリーの活躍により、84-82で勝利したサンロッカーズ渋谷が先手を取る。「昨日は本当に悔しい負けだった。今日は勝つためにどういったプレーをチーム全体でするか、細かい部分まで徹底し集中力を切らさずに一つひとつのプレーを大事にして戦った」と話すのは、そのケリーとマッチアップしたアルバルク東京のデション・トーマスである。前日の14点よりも多い22点をケリーに許したが、トーマスがマッチアップした時間帯はその半分に抑えている。ケリーに3ポイントシュートを決められた後、すぐさまトーマスも決め返し、23点とオフェンスでも上回って83-76でA東京がリベンジを果たした。
オフェンスで活躍を見せるトーマスだが、A東京のディフェンスレベルにも確実にフィットしはじめている。「まだまだ彼に望むこと、要求することは多い」というルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチだが、「大事な場面でソリッドなディフェンスができていた。この2試合は総合的に良い仕事をしてくれた」と成長が見られた。アレックス・カークが腰痛症により不在の中、トーマスのディフェンスが重要となる。
24−8と大きくリードされた第2クォーターについて、伊佐勉ヘッドコーチは「フィジカルのところでオフェンスもディフェンスも圧倒的な差が開いてしまった」と述べ、SR渋谷にとってこの10分間だけが悔やまれる。修正して臨んだ後半は、「自分たちらしいチャレンジができていた」という試合内容で49-41と巻き返す。しかし、バスケは40分間で戦うスポーツであり、悪い時間帯があれば勝利が遠のいてしまう結果となった。
平均12.5本で、リーグトップのオフェンスリバウンドを誇るSR渋谷はA東京戦では20本を記録し、セカンドチャンスから19点を挙げた。A東京は前日も要所で同じようにやられていた反省点を踏まえ、対応したことで前半にリードを奪っていた。しかし、後半は「(チャールズ)ジャクソン選手のオフェンスリバウンドやベンドラメ(礼生)選手にも、ひとつのポゼッションで何度もオフェンスリバウンドを獲られるケースがあった。そこから簡単に攻められ、ミスから得点を許して点差を縮められた」とパヴィチェヴィッチヘッドコーチは言い、SR渋谷が追い上げた要因でもある。
チャールズ・ジャクソンは26点をマークし、オフェンスリバウンドは9本、合計19本を奪う活躍を見せた。前節の横浜ビー・コルセアーズ戦ではケリーに続き、ジェームズ・マイケル・マカドゥも欠く中、ジャクソンがインサイドで気を吐いてきた。SR渋谷のファンもそのことをよく知っており、コートサイド席では『THANK YOU FOR YOUR HARD WARK』と書かれたボードを掲げていたのも納得である。そんなジャクソンは「タフな状況の中でも、毎回自分が持っているものを全てコートで出し切り、チームを支えること」を自らに言い聞かせ、ハードワークし続けている。メンバーが揃ったSR渋谷がふたたび浮上するためには、1ゲーム差で追う4位の富山グラウジーズをホームに迎える次節(3月17日)もまた重要な戦いが続く。