「本当に良い影響がある試合となった。もちろんオフェンスもディフェンスも良くしなければいけない。だが、このようなディフェンシブなプレーができたことにより、求めているオフェンスのレベルに達しなくても、ディフェンスで巻き返せることが選手たちも分かったことだろう」
福澤が茨城に移籍してきて3年目となる。茨城にやってくる前年(2017-18シーズン)は、ファイティングイーグルス名古屋でプレーオフ出場を経験している。しかし、B1クラブラインセンスを取得できず、勝っても負けても昇格には関係ない状況だった。茨城での1年目は東地区3位で当時は4枠しかなかったプレーオフには届かず、昨シーズンはコロナ禍により中止。そして今、自らの手で目標をつかむチャンスが目の前まで来ている。「B1ライセンスもあり、昇格が現実味を帯びてきているからこそ、今年は絶対に上がらなければいけない」という使命を帯びる。だが、個人としてはまだまだB1で戦うためには課題が多いと福澤は考えていた。
「個人的には身長(177cm)も大きくはないし、シュートが入るといってもB1に行けば190cm台の選手が高確率で決めるレベルです。170cm台なのに、シュートだけでは選手としては全然魅力が足りていない。ポイントガードもできるようなレベルになりつつ、3ポイントシュートの確率をもっと伸ばさなければいけないと思っています。個人の課題として、もっとポイントガードとしての実力も身につけないといけないです」
グローバルスタンダードな得点力あるポイントガードを目指す福澤は、「ピック&ロールを使うシーンが増えてくるので、そこでディフェンスがアンダーしたときに決められたら脅威になる」というビジョンを持っていた。一方で、「アシストが全然数字として残せていないので(平均1.7本)、そこも残せていけるようにしたいです」と課題を明確にしながら、個人としてレベルアップするための努力も欠かさない。
世界はもちろん、Bリーグを見ても10cmや20cmの身長差があっても得点を奪うプレーヤーが台頭しはじめている。福澤の太い二の腕や厚い胸板、カッチカチの髪の毛のフィジカルで打開できるはずだ。福澤と同い年の27歳はタレントが数多いる。鵤誠司(宇都宮ブレックス)、富樫勇樹(千葉ジェッツ)、船生誠也(琉球ゴールデンキングス)、橋本晃佑(富山グラウジーズ)、ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)らB1上位争いまっただ中にいる選手たちが待つB1の舞台で対決する日が待ち遠しい。
文・写真 泉誠一