33連勝を記録するも、一筋縄ではいかなかったチームづくり
アースフレンズ東京Zに2連勝した群馬クレインサンダーズが、早くもB2プレーオフ出場を決めた。39勝3敗、ぶっち切りのトップに立つ群馬のマジックナンバーは「9」となり、B2東地区優勝へのカウントダウンがはじまった。
昨シーズンも群馬でプレーした選手は4人(小淵雅、古牧昌也、野崎零也、佐藤文哉)しかいない。新たに8人のB1経験者を補強し、9割を超える勝率を誇る。しかし、大幅に選手が入れ替わることはギャンブル要素も高い。また、チームケミストリーを構築するために時間を要する場合もある。外国籍選手や帰化枠のマイケル・パーカーこそB1時代も先発を任され、20分以上の出場時間を得ていた。しかし、なかなかプレータイムを勝ち取れなかった選手の方が多い。「選手たちをコントロールすることは容易ではなかった」と平岡富士貴ヘッドコーチが言うように、高勝率とは裏腹にチームづくりは一筋縄ではいかなかった。B1にいたプライドがあり、B2に来たからには出場機会が少なければ当然ストレスが生じる。それは、これまで群馬で戦ってきた選手たちも同じである。33連勝のリーグ新記録を樹立した間も、素直に喜べなかった選手もいたそうだ。ひとつの線引きとして、平岡ヘッドコーチは練習からハードワークすることを課し、これまで以上に選手とコミュニケーションを取り、少しずつプレータイムを与えながらチームをまとめていったことが吉と出た。
「クラブとしてB1昇格という目標に向かい、 “前人未到” というスローガンを掲げ、それを一人ひとりが達成しようという意識が高い。それにより、何か崩れたときも選手間で解決してくれている。ベテランのマイク(パーカー)や小淵もそうだが、昨シーズンからいる文哉や古牧がB1の選手に対しても意見を言いつつ、少しでも違う方向に行きそうになれば修正してくれてもいる。そこがチームとしてうまくいっている要因だと思う」(平岡ヘッドコーチ)
「ディフェンスからリズムを生む気持ちは、宇都宮時代から変わらない」山崎稜
東京Z戦のスターターはマイケル・パーカー、トレイ・ジョーンズ、笠井康平、上江田勇樹、ブライアン・クウェリといずれもB1経験者を揃えた。ベンチから途中出場する田原隆徳や山崎稜も、昨シーズンは宇都宮ブレックスに在籍(※田原はシーズン途中で大阪エヴェッサへ期限付き移籍)していた。山崎は「試合に入る際、ディフェンスからリズムを生む気持ちで臨んでいます。そこは宇都宮時代から変わらない」と言い、これまでの経験を発揮する。田原とともにコートに入ることで、「お互いにやりたいことやプレースタイルの特徴も分かっているので、やりやすさは感じています」という山崎は2戦とも16点を挙げ、チームにさらなる勢いを与える活躍を見せた。
平岡ヘッドコーチも、「ここ数試合はベンチメンバーがチームに大きく貢献してくれているようになってきている。また、プレーイングタイムも自ずと増えてきている中で、B1から来た彼らは非常に良い働きをしている。それに負けずに文哉と野崎、古牧もついて行っており、ベンチメンバーが非常に良い流れを作っている」というチームケミストリーがこの好調さを支えている。