2014年、中学2年生だった大倉颯太は当時からスターだった。その年のジュニアオールスターではじめて見た大倉は、石川県代表を準優勝へと導く活躍を見せた。この大会に出場した選手の平均身長は174.3cm。大倉はすでに181cm(※現在185cm)あり、石川県代表でも2番目に大きい。しかし、大倉はシューティングガードやスモールフォワードを中心に起用され、オールラウンドで活躍する目立つ存在だった。そのまま地元の北陸学院に進み、全国区へと導く。大倉に対する注目は年々高まり、その期待に応えていった。
東海大学に進学したその年、日本一を経験する。内田旦人(レバンガ北海道)や津屋一球(三遠ネオフェニックス)などBリーグで活躍する先輩たちがいたにも関わらず、ルーキーの大倉は先発を任され、インカレ決勝ではチームハイとなる17点を挙げた。ポイントガードとしても安定してゲームをコントロールできるようになり、3年生となった今シーズンは2度目の日本一を手にする。その後、2年連続で特別指定選手として千葉ジェッツでプレーし、順風満帆にキャリアを積み上げている。
千葉での昨シーズンは8試合に出場したが、平均出場時間は5分程度だった。2年目の今シーズンもインカレ後の12月15日に練習生からスタート。約1ヶ月半でチームのシステムを叩き込み、晴れて特別指定選手として契約。2月6日の滋賀レイクスターズ戦よりベンチ入りを果たす。アウェーゲームが続き、水曜ゲームも重なる過密日程というタイミングで大倉はデビューを飾った。以下のように意気込みを語り、すぐさま結果を出した。
「アグレッシブにディフェンスをすることやボールをシェアすることなど、その部分でチームに貢献できると考えています。得点を取るという役割ではないですが、ロールプレーヤーとしてディフェンスからアグレッシブにプレーしてチームに貢献したいです」
滋賀戦は2連戦とも出場機会を得て、2戦目は17分間出場し、5アシストを記録する。続く2月10日のアルバルク東京戦では、さらにプレータイムを伸ばし、25分間出場。チャンピオンを相手に競った展開の中でも終盤まで起用され、9点を挙げてキャリアハイを更新した。
東海大学のアイデンティティーであるディフェンスから試合に入り、「とても良かった。自分たちのメンタルを奪い返してくれた」と敗れたA東京戦ではあったが、大野篤史ヘッドコーチは大倉を評価する。ディフェンスに関して、大倉自身は「日頃の大学でのトレーニングの成果が出ていると思うし、そこで負けているようではいつも行っているトレーニングの意味はない。負けると思ってプレーしていないし、戦えなければ意味はない」と言い切った。