通用する部分は必ずある
勝つことができなかったA東京と千葉との対戦を見ていて、第4クォーターになるとオフェンスが雑になる点が気になった。勝久マイケルヘッドコーチも「焦りがある」と指摘する。大崎は、ポイントガードとしてオフェンスの課題点を以下のように挙げた。
「B2とB1の違いはコンタクトやフィジカルの部分ですごく差があります。プレーをはじめるポジションを一つ取っても、簡単には思ったところでボールをもらえません。しっかりはじめられているときは良いオフェンスになりますが、そうではないときはうまく回っていません。その良くない時間帯が多かったです」
ボールのもらい方を工夫するとともに、フィジカル強化の必要性も感じている。この課題は大崎だけではなく、ベテランのアンソニー・マクヘンリーがボールをセットするときにも同様の焦りが見られ、チームとして改善しなければならない。「分かっていても、今は言えない部分もある」という勝久ヘッドコーチに焦りの原因を伺った。
「我々はB1初年度のチャレンジャーである。勝つべきと信じて40分間プレーするか、またはどこかで自分自身で手綱を緩めてしまっていないか。一つひとつのプレーをガマン強く遂行しなければいけないのに、その手綱を自らが緩めてしまってカジュアルになって、遂行できていないという部分もメンタリティーには含まれている。もちろん遂行できていれば、その結果が変わったかどうかは分からない。相手はBリーグトップクラスの千葉だったが、勝つチャンスはあったし、このゲームをものにして自信につなげて欲しかった。40分間遂行し続ける力やタフなメンタルを持ちながら、試合を通して自信をつけさせ、課題を克服していかなければいけない」
現在まで信州の成功体験は13回あるが、それ以上に24回の悔しい思いをしてきた。負けても学ぶことはある。しかし、勝つことで目指すべきスタイルの正解を実感でき、よりステップアップできる。「通用する部分は必ずあるので、そこを40分間続けられるように成長しなければいけないです」と大崎は言い、やるべきことは分かっている。まずはホームゲームでファンとともに40分間諦めることなく戦い続け、1つでも多くの成功体験を積み上げてもらいたい。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE