── 今。野口さんは「外国籍選手が安心して休めるような “つなぎ役” になること」とおっしゃいましたが、ときには勝負どころでコートに立っていたい、勝負を決めるシュートを打ってみたいと思うことはないですか?
若いころにはそういう思いも強くありましたが、今は自分が任された役割を全うすることにやりがいを感じています。交代してコートに立つときは「俺が出て点数が離れたらどうしよう」という思いが頭をかすめるんですけど、いざ一歩コートに足を踏み入れたら「よし、いつもどおりにやるぞ」と気持ちが切り替わります。それができるのは伊佐さん(勉ヘッドコーチ)の『役割分担を明確にしたプレースタイル』が浸透しているから。どんなに短くても必ず『自分が出る時間帯』があるわけです。そう思うと、自然に集中力が高まるんですね。
── 自分の力を出し切ろうと。
はい、ミスを恐れず、チームのために自分の仕事を100%やり切ろうと。そういう気持ちでコートに立てるのはありがたいことです。今の自分が1番いきいきしているように感じますね。
── リーグも後半戦に入りました。目指すのはもちろん優勝だと思いますが、それに向けた野口さんの抱負を聞かせてください。
今シーズンは開幕戦でつまずきましたが、それに危機感を持ったことで選手のミーティング時間が去年より増えました。今も試合が終わるごとに反省点について話し合います。勝った試合にも反省点はあるわけで、その見直しを怠らないことが大切なんだとみんなが理解している気がします。僕は裏方の方が性に合っているんですが、特別指定で入った西野(曜・専修大4年)や八村(阿蓮・東海大3年)が早くチームに慣れるようサポートをするのも仕事の1つ。若い彼らも含め、より良いコミュニケーションを取ることでサンロッカーズ渋谷はまだまだ成長していけると思っています。優勝はその先に見えてくるはず。全員の力で勝ち取りにいきたいですね。
サンロッカーズ渋谷 #23 野口大介
37歳の仕事人。「今の自分が1番いきいきしている」
前編 『3ポイントも打てるビッグマン』への道
後編 チームを勝たせる “つなぎ役” を目指す
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE