── いえ、イメージとしてはよくわかります。そのスライムの中で野口さんはどんな役割を担っていると思いますか?ベテランという意識はあるのでしょうか?
僕はこのチームの最年長ですが、最年長だとは思っていないんですよ。最年長は1番長くチームにいる(広瀬)健太だと思っています。だいたい僕は人に何かを教えることは得意じゃなくて、先生になるのは無理だと思って大学でも教職を取らなかった男ですから、ベテランと言っても自分から率先してアドバイスをしたりすることはありません。キャプテンの(ベンドラメ)礼生や講祐や健太やそういうリーダーシップが取れる選手に疲れが見えたり、ちょっと見逃しているものがあるんじゃないかと感じたとき、ひと言添えるのが自分の役割だと思っています。まあそんな感じですね。
── オフコートではおもしろいことを言ってチームを盛り上げるタイプに見えますが。
僕はおもしろいことはあまり言わないんですよ(笑)。うちには山内(盛久)を筆頭におもしろいことを言うヤツがいっぱいいますから、彼らがおちゃらけているのを笑って見ているのが好きです(笑)
── それは意外です。何年か前、アフロヘアにした野口さんを見たときから「この人は周りを笑わすことが好きなお祭り男に違いない」と思い込んでいました。
ああ、あのアフロ!誤解させてしまってすみません。中身はわりと普通の人です(笑)
── 試合でナイスプレーが出ると、渋谷のベンチはものすごく盛り上がりますよね。学生チームのような雰囲気で見ている方も楽しくなります。
それは言えますね。普通プロ選手というのは1人ひとりが独立しているというか、ちょっとクールなイメージがあるじゃないですか。特に北海道にいたときは折茂武彦さんというバスケット界の偉大なレジェンドがいたので周りも馬鹿みたいには騒げませんでした。ところが、今の渋谷は馬鹿みたいに騒ぎます(笑)。それこそ今言われたみたいな学生チームのようなノリでうれしいときは思いっきりはしゃぐみたいな。うれしいのは外国籍選手も一緒になってはしゃいでくれること。だから余計に一体感が生まれます。楽しいチームですよ。
── その中でベテランの野口さんが求められていること。やるべきことはなんだと考えていますか?
僕は外国籍選手と交代するので、まずはベンチに戻った彼らが安心して休めるような “つなぎ役” になること。ガード陣が前から激しいプレッシャーをかけているとき、僕たちビッグマンもそのテンションを落とさないディフェンスをすること。また、チームのテンションが落ちかけていると感じたら自分のプレーでそれを上げていくこと。それがベンチから出る自分に求められているものだと思っています。