37歳の仕事人。「今の自分が1番いきいきしている」(前編)『3ポイントも打てるビッグマン』への道 より続く
創設されたレラカムイ北海道に加入するため北海道にUターンしたのは24歳のとき。運営上の金銭トラブルが悪化して4年後にチームが消滅するという憂き目にもあったが、『北海道にプロバスケットチームを残す』という志の下に生まれたレバンガ北海道のメンバーとしてひたすら走り続けてきた。「できればこのまま引退まで北海道でプレーしたい」という気持ちも心のどこかにあったに違いない。だが、2年前に移籍したサンロッカーズ渋谷で野口は新しい景色を見ることになる。プロになって初めて経験した優勝(天皇杯)、勝利するために自分が求められ、生かされているという手ごたえ。「今、このチームで戦うことが本当に楽しい」と言うベテランの顔が輝いて見えた。
チームを勝たせる “つなぎ役” を目指す
── ここからは『サンロッカーズ渋谷の野口大介』について聞いていきたいと思います。まずはレバンガ北海道から移籍することになった経緯を教えてください。
僕はレラカムイ時代を含めると13年ぐらい北海道にいたわけですが、それだけに(北海道への)思い入れもあったし、自分の中に引退するまでこのチームにいられるんじゃないかという甘えた考えもありました。が、当然チームが勝つためには新しいメンバー構成が必要になります。それは頭ではわかっていたつもりですが、新シーズン(2019年-2020年)は契約しないと聞いたときは正直ショックで頭が真っ白になりました。そんなときクラブから「うちのチームに興味はないか?」というメッセージが届いたんです。「あります」と返事をしたらすぐにGMの方が北海道まで飛んで来てくださった。それがうれしくて「ぜひ渋谷でプレーさせてください」と伝えました。
── 入団して最初のチームの印象はどんな感じでしたか?
まずバスケットをする環境が整っていることに感激しました。練習する専用の体育館があり、ウェイトトレーニングルーム、ミーティングルーム、お風呂まで完備している。なんてすばらしい環境なんだろうというのが第一印象です。
── 野口さんが加入した2年前は他にも石井講祐、関野剛平、渡辺竜之佑、田渡修人と新しい選手たちが加わりチームが大きく様変わりした年でしたね。
はい。それだけに最初はどんなチームができるんだろう、自分はそこにフィットできるだろうかという不安もありました。今はすごいフィット感がありますけど(笑)
── 野口さんの目から見て今のサンロッカーズ渋谷はどんなチームですか?
どんどん進化していくチームだと思っています。なんて言えばいいのか、言い表すのは難しいんですけど、芯はしっかりしているのに変な固定観念がないチーム、いろんな形になりながらその中に相手を取り込んでしまうようなチーム、イメージで言えばスライムみたいな感じです。例えが上手くないので伝わらないかもしれませんが。