「藤井(祐眞)くんが一生懸命にディフェンスをする選手であり、そこでフラストレーションが溜まってしまっていた。自分の思った通りにいかないときこそ、やさしい言葉をかけることで安心して攻めることができる。フラストレーションが溜まっている表情が見られたときには『大丈夫だから、こうすればうまくいくし、あとは好きにやって良い』と声をかけ、その後にしっかり決めてくれた」
悩める金丸は、「対策されたときに、ゲーム中に修正できる能力を身につけなければチャンピオンシップも厳しくなる。すぐに対応できるようにしなければダメだと思います」と反省点を挙げた。この言葉は過去にも聞いたことがある。この課題を払拭できたときには平均20点の壁を超え、得点王に近づくはずだ。
最低ラインを下回るディフェンスの現状
矛と盾 ── バスケはオフェンスとディフェンスの戦いである。ディフェンシブなチームが多いBリーグにおいて、三河はオフェンスで凌駕するスタイルだ。川崎に敗れた3試合は、いずれも90点以上を獲られている。「川崎の遂行力を見れば、ディフェンスの強度は東地区の上位に比べると、最低ラインを下回っていると正直思います」という川村が、ディフェンスに対する考えを話しはじめた。
「我々のディフェンス力が、良くはなっているとはいえ90点以上を獲られており、いくらオフェンシブなチームであってもなかなか上手に勝つことはできないです。優勝するためには、平均的なディフェンスをもう少しステップアップさせることが必要です。いくらオフェンシブな選手が揃っていても、シュートの決め合いを繰り返していたら、どこかでリズムが崩れたときに、今日のような3点差は小さいように見えて実はでっかいビハインドであり、点差を詰めることも難しくなってしまいます」
ディフェンシブな東地区に負けっぱなしなわけではない。首位を走る宇都宮ブレックスには90-70で勝利し、サンロッカーズ渋谷にはアウェーで2連勝を飾った。今週末にはアルバルク東京をホームに迎え、続けてアウェーでの宇都宮戦が待っている。さらに3月12日には天皇杯セミファイナルで、川崎との再戦も楽しみだ。
「ディフェンス力は、みんなが集中できなくなったときにガタッと落ちてしまうことがこのチームにはある。それを1分でも短くしないといけないと川崎戦を通じて感じました。ディフェンスはまだまだ詰められる部分があり、そこの課題を一つひとつ消していきながらステップアップすることが重要になります」(川村)
ディフェンスを平均値に戻すことさえできれば、オフェンスの長所がさらに際立っていく。東地区を相手にディフェンスの強度を体感しながら、三河は矛を叩いて強靭なオフェンス力を磨き続ける。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE