西地区トップのディフェンス力
Bリーグで勝つために不可欠なディフェンスに関しては、現在西地区トップの最少失点数(平均73.3点 ※2月7日時点)を誇る。リーグ全体では東地区首位の宇都宮ブレックス(平均70.9点 ※2月7日時点)に続く、2位。アンソニー・マクヘンリーは広い視野と多くの運動量で、ボールマンを警戒しながらプレスを仕掛ける。A東京との初戦はファウルトラブルがあり、25本のフリースローを与え、失点が増えてしまった。それ以上に勝久ヘッドコーチは、「リバウンドもディフェンスの大きな一部であり、そこをコントロールできなかったことが大きく響いてしまった」という課題が見えた。2戦目のリバウンド数は42-40で、信州が上回る意地を見せている。
ディフェンスの要となる三ツ井は、A東京戦では東海大学の先輩である田中大貴とのマッチアップが実現した。「大貴さんは素晴らしいピック&ロールプレーヤーです。できるだけ気持ちよくプレーさせない、好きなようにボールを持たせないことを心がけていました。正直、今日は大貴さん以外のマークでもったいないファウルをしてしまい、マッチアップする機会を少なくしてしまいました」という三ツ井も4つのファウルを犯している。毎試合エースをマークする役割を担っており、「僕自身がハードにディフェンスをするタイプなので、ある程度のファウルは覚悟しています。でも、今日のように前半や後半の最初の段階でファウルトラブルを起こさないように気をつけていきたいです」と反省し、翌日は2つのファウルに留まった。
三ツ井のディフェンスに対し、勝久ヘッドコーチの信頼も厚い。
「マック(※マクヘンリー)とウェイン(マーシャル)に並ぶチームNo.1のディフェンスをしてくれる頼もしい選手であり、体を張ったプレーでチームを引っ張り続けてくれている。唯一の長野出身であり、地元チームへの思いも強い。たまに厳しいときもあるが、仲間に声をかけてリーダーシップを発揮し、常にチームのスタンダードを高いレベルへ引き上げてくれている」
三ツ井をはじめ、B1初参戦となる選手も多い。勝ち抜くためにも彼らの活躍は欠かせず、勝久ヘッドコーチは期待を込めて、現時点での評価をしてくれた。
「(西山)達哉はもともとスキルが非常に高い選手であり、オフェンス能力は素晴らしいものがある(平均11.7点 / 4.4アシスト ※2月7日時点)。今シーズンは絶対に彼の名が広く知られることは確信していた。これからもチームを引っ張り、成長を続けていって欲しい。ルーキーのときからコーチしてきた(栗原)ルイスと(大崎)裕太は、これまでの2年と比較すれば今は壁に当たっている。もっともっとB1のプレッシャーや激しさ、まわりのタレントに慣れながらそれを乗り越えて、このチームのピック&ロールプレーヤーとしての大きな役割を発揮して欲しい。まだ若い選手だが、3年間ともに築いてきた我々が目指すスタイルを体現できる2人でもある。良い経験を積んで、どんどんリーダーシップを発揮してもらいたい」
A東京との初戦を終えたあと、そんな彼らがコートに戻ってきてシューティングをしたり、走り込んだり、各々が課題を持って取り組んでいた。勝久ヘッドコーチが掲げる「日々成長」を体現できる選手は、ベテランも若手も関係なく多いのが信州だ。現在西地区7位(12勝22敗)に位置しているが、一皮剥ければあっという間にチャンピオンシップ戦線に絡んでくるような気がしてならない。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE