近代バスケのオフェンスは二極化している。1.5倍の得点となる3ポイントシュートを狙うか、ゴールに近いペイントエリア内から確率高く決めるか、である。
オフェンスのトレンドを徹底「あとは決めていくだけ」
アルバルク東京に73-83(2月6日)で敗れた信州ブレイブウォリアーズだが、グローバルスタンダードなオフェンスに取り組む有望株かもしれない。3ポイントシュート試投数はリーグトップの1032本(※2月7日時点)であり、唯一4桁を超えている。1月30日の滋賀レイクスターズ戦は68-74で敗れはしたが、ボックススコアに表示される2ポイント成功数とペイントエリア内からの得点が同数だった。2021年の9試合だけを見比べても、3ポイントシュートとペイントエリア以外の得点は平均3.3点しかなく、二極化のトレンドを徹底している。
A東京との初戦も、3ポイントシュート試投数は10本上回っていた。「ほとんどの3ポイントシュートは良い形で打てている」という勝久マイケルヘッドコーチが目指すスタイルは遂行できている。成功率は21.9%と精度を欠いたが、「A東京の激しいディフェンスを相手に、最後は苦しまぎれの3ポイントシュートもいくつかあり、それは良くなかった。でも、それ以外はオープンの良い3ポイントシュートが打てており、あとは決めていくだけ」である。
9点差以内で敗れた試合は、A東京との2戦目を含めて22敗中11試合(※2月7日時点)。スポーツに“たられば”はないのは承知しているが、もしも3ポイントシュートがあと3本決まっていれば、結果が変わっていたかもしれない。3ポイントシュート決定率が31.7%(※2月7日時点)であり、リーグ16番目と良くはない。だが、この数字が上向きさえすれば、一気に形成逆転する可能性を秘めている。「レイアップやフリースロー、3ポイントシュートなどがあと1〜2本決まるかどうかで負けてしまった試合も多い」と勝久ヘッドコーチも話しており、初のB1でも戦えていないわけではない。
「3ポイントシュートはとにかく練習し続け、自信を持って打ち続けていくだけ。我々はスペーシングから3ポイントシュートを多く作るスタイルであり、そこで決めて行かなければいけない。シューターは自信を持って、これからも打ち続けるのみ」(勝久ヘッドコーチ)
シューターとしても期待される三ツ井利也だが、試投数(平均2.1本 ※2月6日時点)が伸びてこない。シュートを打つべきか、周りを生かすべきか「そこは僕自身も気を遣っている」というスタンスを貫いていた。
「もちろん空いたときには自信を持って打つことは心がけています。出ている5人の組み合わせによって誰に打たせるべきか、今どの選手で得点をしていくべきかを見極めることを僕自身は大事にしています。チームとしても、その精度をもっともっと高めていけば、確率も上がってくると思っています」
三ツ井をはじめ、小野龍猛や2017年U19ワールドカップでは平均4.6本の3ポイントシュートを放っていたヤン・ジェミンらスモールフォワード陣の試投数が増え、確率よく決めていくことができれば、信州が目指すスタイルはさらに一段レベルアップするはずだ。