── さて、リーグでは1月20日現在22勝5敗で東地区トップ、リーグ全体でも首位に立っています。3月には王座奪取を目指す天皇杯も待ち受けていますが、ギブスさんから見たブレックスのチーム状態はいかがでしょうか?
これまでの戦いを振り返ると、比江島慎選手のケガは非常に残念で大きな痛手でしたが、それに代わったLJ・ピーク選手がすばらしいパフォーマンスを見せてくれていますし、チームの状態は悪くはないと感じています。ですが、ここから改善すべきこと、精度を上げていかなければならないことはまだまだたくさんあります。ブレックスはさらに強くなる可能性を秘めていると思いますね。
── その中でギブスさんが考えるベテラン選手としての役割はどういったことでしょう。
ブレックスには言葉でチームを鼓舞し、勢いづける選手はたくさんいます。私はどちらかと言うとそれほど言葉が多いタイプではないので、その分プレーでリーダーシップを取りたいと考えています。それにはルーズボールやリバウンドなどのハッスルプレーは欠かせません。40歳の私が果敢にルーズボールに飛び込むことで、若い選手たちは彼があそこまでやるのなら自分ももっと頑張らなければと思ってくれるはずです。そう思わすプレーをするのは私の役割の1つ。でも、そうは言っても私の中にはまだまだ若い選手に負けていないという気持ちがあります。自分はまだまだ若い選手と渡り合えると思ってコートに立っています。
── プライベートでは4人のお子さんの良きパパとして知られています。 “単身赴任” の生活が寂しくなることはないですか?
寂しくないと言えば嘘になりますが、今はビデオ電話もありますし、家族とは毎日欠かさず会話をしています。離れていても顔を見て話せる現代のテクノロジーはすばらしい(笑)。家族と話すのは私の大切な癒しの時間です。
── お子さんたちはバスケットをやっているのですか?
長男、長女、次女、次男、4人ともバスケットをやっています。私は自分が知り得るすべてのことを彼らに伝えたいと考えていて、夏にアメリカに戻ったときはアドバイスもたくさんします。長男のトレイは17歳ですが、シュートに関しては私より上手い気がしますね。才能を感じるのは末っ子のペイトン。彼は2月で7歳になりますが、本当にバスケットが大好きで毎日バスケットをやっています。彼がもしこのまま大人になるまでしっかりバスケットを続ければ、恐らく私を超える選手になるのではないかと秘かに期待しているんですよ(笑)
── きっと “パパギブス” はお子さんたちの誇りですね。
そうであればうれしいし、そうあることを願っています。私が自分の人生において心がけているのは、コートの中でも外でも子どもたちにとって恥ずかしくない父親でいること。彼らが「これが自分のお父さんだ」と誇りを持って言える存在になること。そのためにはバスケット選手としてのすばらしいパフォーマンスと人として正しい行いをやり続けることが大事だと思っています。人生はそれほど長くはないのでネガティブになっている時間はもったいない。何事もポジティブにとらえ、ポジティブに生きていきたいですね。そんな自分の生き方が子どもたちだけではなく、自分より若い世代の人たちの小さなお手本になればとてもうれしい。そうなれるようこれからも頑張っていきたいと思っています。
宇都宮ブレックス #4 ジェフ・ギブス
強くて、謙虚で、温かい人
前編 アメリカンフットボールで培ったパワー
後編 バスケット選手として、人として、子どもたちが誇りに思える父親でいたい。
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE