平均86.8点(1月30日現在)の失点数は、リーグワースト1位。ディフェンシブなBリーグを勝ち抜くには、この失点を減らさなければならない。堀田ヘッドコーチはディフェンスをテコ入れし、後半戦の初戦に臨んでいた。「まだ浸透しきれていないので、まずはこのディフェンスを完璧な状態にして、失点を減らしていけるようにしたいです。オフェンスに関しては強みが多々あるので、そこをうまく生かすための戦術をプラスアルファしていきたいです」と70点に抑えることができ、ここから真価が問われる。
朝山も「選手個々の能力はポテンシャルが高いものを持っている」と、オフェンスには手応えを感じている。10試合連続先発で起用され、若いメンバーの手綱をしっかり握ることもベテランとしての役割である。「入りだしで個に頼りすぎてしまえば、ゲームが重くなってしまいます。そこを自分がバランスをとりながら、かつ自分の持ち味であるシュートはタイミングが来たら狙うことを心がけて毎試合臨んでいます」と話す朝山は、第2クォーター終盤に2本連続3Pシュートを決め、二桁得点を挙げる活躍を見せた。
みんなで切磋琢磨し、みんなでBリーグを盛り上げたい!
試合前、リーグ最年長となる42歳の竹田謙と笑顔で再会し、声を掛け合うシーンが微笑ましい。39歳の朝山は「いやぁ〜、うれしいんですよ」とニンマリしながら、B1にいる今の心境を語ってくれた。
「B2時代が長くかかってしまいましたからね。竹さんは先輩ですが、各チームに昔の仲間や同世代の選手がいます。顔ぶれもだいぶ新しくなってきましたが、古き良き仲間たちと会えるのがうれしいです。みんなで切磋琢磨しながら、みんなでBリーグを盛り上げていきたいと思っています」
10点を挙げた朝山もさることながら、竹田はディフェンスで体を張り、速攻では最前線へと駆け上がる。繰り返し行うハビットスポーツと言われるバスケにおいては、経験値も大きな武器となる。
「ベテランがいらないことはないし、チームにとっていろんな影響を与えることができると思っています。時には若い選手たちに厳しいことを言わなければいけないし、時には拠りどころとなっていろんな経験を伝えていくためにも必要だと思っています。(同世代の)みんなと一緒にがんばっていきたいという思いは、毎回コートで会う度に強くなっています」
苦しい連敗の中でも、最年長の朝山が笑顔でチームを引っ張る姿を見れば、「次こそ」とファンはさらに応援したくなるものだ。その気持ちを筆者は痛いほどよくわかる。今、目に入れても痛くないワシントン・ウィザーズは泥沼にハマっているが、それでもエースのブラッドリー・ビールが笑顔で戦う姿を見て救われている。
さて、1月までは「俺の世代」としてルーキーを特集してきた弊スピリッツだが、2月は朝山と同世代であるベテランや職人にスポットライトを当て、主役になる番がやってくる。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE