ベンチ外にはストックマン・ジュニアとともに、練習生のキング開(専修大学3年)の姿も見られた。「練習中から良い意味でバチバチやり合えるとても良い環境にあると思っています」と河村が言うように、若い選手たちが切磋琢磨することで横浜を底上げしていく。
今シーズンもBリーグの特別指定選手制度を利用し、在学中の学生がプロを経験する機会を得ている。河村と同い年の星川堅信(早稲田大学1年)は宇都宮ブレックスへ、兪龍海(早稲田大学1年)はアマチュア契約で三遠ネオフェニックスに入団した。早生まれの19歳である笹山陸(筑波大学2年)も、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの一員となった。
多くの指導者に触れる機会が増えることも、特別指定選手制度のメリットと言える。ミニバスから大学まで4つのカテゴリーにおいて、そこで出会った4人のコーチからしか教わる機会がない選手も多い。シーズンスポーツ制のアメリカでは、オフシーズンとなる夏の期間に様々なキャンプ(クリニック)が行われ、教わるコーチの数を必然的に増やすことができる。多くの知識を得るとともに、他のコーチから学ぶことで自分がやってきたことに確信を持ち、自信を深める機会にもなっている。
福岡第一高校の井手口孝監督をはじめ、スプリングキャンプでは網野友雄ヘッドコーチ(白鷗大学)に、三遠では河内修斗ヘッドコーチ、その後に入学した東海大学では陸川章監督の指導を受け、今はミリングヘッドコーチの下にいる河村は、約1年間で5人のコーチに学びながら成長を遂げている。
「たくさんの指導者の方にいろんなことを教わっていますし、指導者が変われば考えることも違います。いろんなバスケットを学ぶことができるこの環境に感謝しています。たくさんの指導者の方に教わったからには、恩返しをしなければいけないとも思っています。結果やプレーで成長をお見せできるようにがんばっていきたいです」
ティーンエイジャーに対して「自信を持たせること」ミリングHC
横浜に来る以前、ミリングヘッドコーチはフランスのプロチームで指揮を執っていた。2018-19シーズンのリモージュCSPでは、3人のティーンエイジャーを指導している。若き逸材を育てるために心がけている点について伺った。
「心地よくプレーすること、そして自信を持ってプレーさせることが一番大事です。もちろんキャリアがないことでミスもしますが、それは普通のことです。例えば、1ヶ月間で毎試合5つのミスをしてしまったとしても、次の月には4回に減るかもしれません。そうした経験を積ませることで、ミスを減らすことにつながります。若い選手には自信を与えることが大切であり、そのためにも練習中からたくさんコミュニケーションを取るようにしています。自信を持つことで、彼らのパフォーマンスも自ずと上がっていくものです」
特別指定選手制度を通して多くのティーンエイジャーを迎えることが、Bリーグが掲げる『世界に通用する選手の輩出』というミッション達成の近道になるはずだ。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE