盲腸を患い、術後の回復が長引いたことで最後のインカレには出場できなかった。そんな本調子ではなかった昨シーズンは5試合の出場に留まり、「本当に1からやらなければいけないという思いで、今シーズンに臨んでいます」と真っ新な気持ちでルーキーシーズンを迎えた。取材を行ったのは15試合を終えた時点であり、「チームコンセプトであるディフェンスの部分では良くなっていると思います。しかし、疲れたときにディフェンスができなくなってしまうことがまだあります。ガードの先輩である伊藤(駿)選手や長谷川(暢)選手を見習いながら、もう少し学んでいかなければなりません」と自己評価する。
先発を固定しない前田顕蔵ヘッドコーチの下で開幕から5試合、直近3試合もスタートから起用され、信頼を勝ち得ているように見える。しかし、大浦自身は「完全なる信頼を置かれているわけではない」と考え、さらなる課題点を挙げた。
「ディフェンスでの1on1が重要になってくるので、どの選手とマッチアップをしても抜かれないこと、プレッシャーをかけ続けることが大前提です。オフェンスの部分では、秋田はガードがクリエイトするので、シュート確率を上げることや軽いミスがまだまだあるので、正確性をもう少し高めていきたいです」
目指すは新人王!さらに見据える先は世界
今シーズンの目標を聞けば、「新人王」とすぐさま答えが返ってきた。
「ルーキーイヤーしか獲ることができないので、そこは狙って行きたいです。そのためには、チームを勝たせられる選手にならなければ、はじまらない。チームの勝利に貢献できるようにしたいです」
スタッツ目標は、アシスト平均5本以上を掲げている。15試合を終えた時点で平均2.3本、目標値にはまだ遠い。チームケミストリーの向上とともに、自ら得点を獲りに行く姿勢を示すことでアシストのチャンスも増える。「シュートが入らないから打ちたくないと思って、逃げていた時期もありました。しかし、打たないことには入るかどうかは分からない。今はリングに向かって果敢にアタックすることを、自分の中では決めています」と吹っ切れることができ、11月14日の千葉ジェッツ戦では11点を挙げた。翌日は、しっかり4本のアシストを記録している。
「世界で戦えるような選手になりたい。日本で有名になり、注目されるような選手になりたいです」という将来像を描く。日本代表になって世界と戦うこと、八村塁と同じ舞台に立つことが目標であり、「どちらの選択肢もあると思っています」という。今いる環境に甘んじることなく、高いところを見据えているのは学生時代からずっと変わらない。
大学3年時に1部昇格を決め、インカレに出場し、こうしてプロへの道が拓けたのも頼もしい後輩たちの存在が大きい。12月7日より開幕する今年のインカレへ向け、日本体育大学の後輩たちへ向けたメッセージを最後に紹介しよう。
「コロナの影響でリーグ戦ができず、トーナメント戦になってしまい、あまり試合数をこなせていない状況です。4年生にとってはこれまで普通に試合ができていたのに、今年に限って試合ができないもどかしさもあると思います。最後に全てを出せる舞台としてインカレがあるので、自分たちが4年間やってきたことの全てを出してください。今後どこに進むかは分からないですが、全力を出し切れば次のステップに必ずつながるので、全力でがんばって欲しいです」
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE
画像 バスケットボールスピリッツ