JBL勢に対し、佐藤自身も「一目置いていた」。だが、Bリーグとなった今は、「同じレベルで戦わなければいけないし、同じように成長していかなければいけない。ひとつになったことで、日本のバスケ界がすごく成長したと感じています。その裏で多くの尽力があったことにも感謝しなければいけません。全ての選手たちと一緒に戦えている今は、すごく幸せな環境です」という思いが、常に全力で戦う原動力になっていた。
30歳以上が半数いた昨シーズンとは打って変わって「非常に若い、いろんな意味で若いです。圭さんと池田さんとともに、背中で見せていかなければいけないことが山ほどあります」と佐藤は言う。若い選手たちがどう感じるかで、今シーズンの戦いも変わってくる。昨シーズンから継続してプレーするのも4人しかおらず、「新潟は単純に移籍してきた場所では無いことを感じてもらいたいです。泥臭く、カラ元気でも良いから、とにかく自分を最大限プレーしなければいけない場所が新潟だと僕は思っています」と言及する。星野曹樹、大矢孝太朗、石井峻平に対し、「新潟出身の後輩が続々とプロになっていくことはすごく素晴らしいことです。新潟の県民性の良いところは、プロ選手に対して評価してくれる気持ちが強いこと。しかしそれに甘んじることなく、ブースターの皆さんに支えられているからこそ、自分たちがプレーできていることを忘れずに、練習からひたむきに取り組んで欲しいとすごく思っています」と強調した。
いつでも全力プレーが新潟スタイル
JBL時代は憧れる存在であり、bjリーグ時代はプロ選手としてコートに立ち、そしてBリーグ元年もオレンジ色のユニフォームを着て地元で全力を尽くしてきた。全てを知る佐藤について、“アルビらしさ”について聞いてみた。
「やるときにはやるチームでありたい。練習でも試合でも、負けたくないという気持ちを全面に出す。常に叱咤激励し、心から熱い声援を送ってくれるブースターの皆さんをひとつにできるようなプレーをしなければいけない。新潟のブースターはいつも選手一人ひとりを見ています。プレーしている選手だけではなく、ベンチにいる選手も見ており、チームのために献身的に声を出し続けたり、コート上では常にボールに食らいついたり、もちろん得点を積極的に狙いに行くことが求められます。一つひとつのプレーに対し、全力を出すのが新潟のスタイルだと昔から思っています」
2度の移籍はあったが、今シーズンで通算10年目の新潟での戦いへ向け、「勝ちに貢献したい。単純に勝ちたいではなく、勝つためのターニングポイントに携わり、流れを変える局面こそコートに立っていたいです。中心選手として、まだまだ成長したい思いが強くあります」と自信を見せた。
「コロナ禍で思い通りにいかないことも多いですが、新潟のバスケチームとしてお客さんの前で試合ができる幸せを、今はすごく噛み締めてプレーしています。この状況の中でいろんな思いをされている方々に対し、毎日がんばろうという気持ちを持ってもらえるように、僕らも精一杯結果を求めていきます」
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE
画像 バスケットボールスピリッツ