part2「真剣に、夢中になれる環境で見つける天職(小豆島ストーンズ #29 橋本翔平)」より続く
大自然を使ってトレーニングできる小豆島の魅力
昨春に行われた第1回トライアウトに合格した杉信男は、創設メンバーとして小豆島ストーンズの歯車を回した。ミニバスからスタートし、大阪商業大学を経て実業団チームがある企業へ就職したのが昨年のことである。4月に入社したが、「会社自体が僕の夢に対して応援すると前もって理解してくれており、トライアウトを受けて良いと背中を押してくれました」と、1か月後には退社した。
トライアウトに合格し、生まれ育った大阪から小豆島へ移住。「虫のサイズの大きさにビックリしました」という新生活がはじまった。「島をまわれば野生のサルやウリボウ、シカなどに必ず会うので、そこも最初はビックリしました」と続けたが、1年も経てば「最近は慣れてきて何も思わなくなりました」とすっかり溶け込んでいる。
プロ選手だが、バスケだけで生計を立てるまでには至っていない。小豆島の名物であるそうめん工場やレンタサイクルの整備など、「会社の筋肉になる力仕事が多いです」とアスリートの利点を生かした仕事に就いている。レンタサイクルの拠点が島内各所にあり、「ストーンズのTシャツを着て仕事をしていると、島の人たちが興味を持って話しかけてくれます。最初は僕のことを知ってもらい、『ストーンズというチームがあって活動しています』と挨拶をして、そうして少しずつ広まっていると思います」という杉は、PRの場としても活用している。
その成果が今夏、ひとつの形になった。8月9日にはクリッパークラブと、9月21日は香川大学とのホームゲームを公開した。「最初はチームのメンバーが働いているところのつながりでしたが、そこから段々と広まっていって多くの方が見に来てくれました」と盛況であった。
杉の目標はBリーガーになること。小豆島ストーンズは地域リーグ[中国・四国・九州]に参戦し、そこで自らの力を証明していく。開幕まで一ヶ月を切った今は、「セットプレーやコンディショニングの確認が大事になってきます。それに加えて、個々の目標に向かってトレーニングをしたり、バスケIQを高める勉強をしたり、自分たちで行っています」と戦いに備える。