part1「スポーツ業界の在り方を変えていく取り組み(丹生茂希GM代行)」より続く
真剣に、夢中になれる環境で見つける天職
今年6月末、橋本翔平が小豆島にやって来た。「選手としてだけではなく、地域貢献やスクールのコーチなどを経験しながら、バスケで生活していくための土台作りをしたい」という目的を持って、小豆島ストーンズの門を叩いた。
これまでもバスケに携わる仕事をしてきたが、「バスケで仕事をしたいという思いの方が強いです」と橋本は言う。「コーチングや、プレーヤーとしても諦めずに挑戦しています」とバスケを外から支えるのではなく、現場での仕事を求めている。
「僕らが発信することに対して、基本的にクラブからNOと言われることはありません。アイディアに対してまずはやってみよう、そのためのアドバイスを丹生(茂希)代表やまわりの方々が教えてくれます。好きなことや自分たちがやりたいことを、無我夢中にできる環境です」
週5回、島内で一番大きな総合体育館を借りて、真剣にバスケに打ち込めている。「これが最後のチャレンジ」という橋本だが、Bリーガーを目指しているわけではない。「バスケで仕事をしたい」を模索するとともに、プレーヤーとして「日本一を経験したい」という目標も掲げていた。小豆島ストーンズは、日本社会人バスケット連盟が運営する地域リーグ[中国・四国・九州]に参戦し、10月24日よりジップアリーナ岡山で開幕を迎える。トライフープ岡山サテライトや山口ペイトリオッツといったプロクラブ、実業団チームの強豪である九州電力アーティサンズがライバルとなる。
「リーグやカテゴリーに関係なく、勝ちにこだわって日本一を経験したいという目標がずっとあります。地域リーグの全国大会では、実業団チームが優勝するような形ができつつありますが、それを小豆島ストーンズが覆していきたい。個人に支えられ、ユニフォームに企業名が入ることもないプロチームが地域リーグで日本一になれば、バスケ界を変えられるのではないかと思っています」
しかし、橋本が思い描くレベルにはほど遠く、それぞれ異なる目標を持って集まる小豆島ストーンズだけに足並みが揃わない部分が露呈していた。
「選手一人ひとりがこの環境に対する感謝の気持ちがどこまであるのか、本当に目標を持って取り組めているのかというのが今の課題です。それぞれ個人の目標を持っていますが、どこかでチームを疎かに考えてしまっている部分があると思います。常々言っているのは、まずチームがあっての個人であること。小豆島ストーンズというチームを良くして、その上で個人が目立つことでBリーガーなどの目標につながっていくわけであり、僕らにとってはそれが一番の近道になるはずです。もっと良いチームにしていくためにも、毎日バチバチとやり合える環境を作っていきたいとは思っていますが、経験やレベルの差があり、悩んでいるのが現状です」