ゼロから準備してきたことで「言い訳はできない」2年目
今年1月、宇都宮ブレックスが特別指定選手として21歳のテーブス海を迎えた。ノースカロライナ大学ウィルミントン校1年次は、NCAAディヴィジョン1でいきなり活躍し、平均7.7本のアシストは2018-19シーズンの全米第2位を記録した。当時のエースであり、テーブスから精度の高い数多のパスを受けて平均15点を挙げたディボンテイ・ケイコックは現在、LAレイカーズの一員としてNBAプレーオフの舞台にいる。
2年生になったテーブスは5試合出場するも、勝ち星を挙げられずにいた。ノースカロライナ大学ウィルミントン校が属するカンファレンスには強豪校がおらず、NBA予備軍が競い合うNCAAのイメージよりもレベルが落ちる。「もっとレベルの高いところで挑戦したい。将来はNBAでプレーしたい」と、プロになることを決意した。長年同じメンバーで戦い、チームとして成熟する宇都宮での途中加入はやはり難しく、平均10.2分に留まる。しかしその少ない出場時間の中でも、平均5.8点を挙げたオフェンスでファンを魅了した。
今年は最初からチームの一員として、ゼロから準備してきたことで「言い訳はできない」2年目へ向かう。12試合の経験を経て、「Bリーグに合わせるためには、身体を完全に改善しないといけないと感じていました。アメリカでは自分よりも大きな選手とのマッチアップばかりで、そのためにも体重を増やさなければいけなかったです。でも今シーズンへ向けて、激しいディフェンスを毎試合続けるためにも体重を落とすことが大事だと思いました」と言い、今オフはプロに順応するための肉体改造に時間を費やしてきた。
先に挙げたようにオフェンスでの見せ場はあったが、ディフェンスは宇都宮のレベルにまだまだ達していなかったのは否めない。しかし、プレシーズンゲームではそこにも変化が見られた。安齋竜三ヘッドコーチは「オフェンスが目立つが、実際にはディフェンスがかなり成長している。あれだけの脚力があるので、一人で守れる範囲もすごく広いし、彼の意識の中でディフェンスの部分をもっと大きくしていくことでプレーの幅が広がり、質も上がっていく」と太鼓判を押す。テーブス自身も、「チームディフェンスの部分は、ローテーションなどいろんなことを理解するために映像を見て勉強していました」と準備し、その成果を早くもファンの前で披露した。
目標である東京オリンピック出場へ向けた勝負の年
ゴールへアタックする姿勢は昨シーズンと変わらない。9月6日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦は14点を挙げ、積極的にスタッツを稼ぎにいっている印象を受けた。入団会見時には「もちろん東京オリンピックに出たいし、昔からの目標であり、近づいてきたのは事実。自分のプレーが全てであり、努力して成長していくしかない」と話していた。1年延期になったことはテーブスにとって大きなチャンスであり、アピールするためにも結果を求めてスタッツを重視しているかと質問を投げた。