── おふたりとも目標とするところは一致していますが、一方でほかのB2の各チームも選手を補強するなど、しっかりとした準備を重ねています。佐賀の戦いも決して簡単ではありません。それでもB1昇格するために必要なこと、意気込みも含めてお願いします。
澁田 チーム力が本当に大事だと思いますし、それを作っていくうえで年齢が若くて、試合にあまり絡めないような選手がどれだけ試合に出るコアのメンバーと同じくらいのパフォーマンスをするか、つまり下からチームを突き上げていくことが大事だと思っています。まさに僕は下から突き上げる先頭にいると思うので、下からチームをどんどん突き上げられるようにしていきたいです。もちろん試合に絡まなければプロ選手としての価値がないと思うので、僕も試合に絡んで、チームの勝利に貢献することにも貪欲に取り組みたいと思います。
小松 最初に思うのは、やはりどれだけチームとしてコミュニケーションを取れるかだと思うんです。戦術に関してはコーチに任せていいので、どれだけ選手間でコミュニケーションを取れているかがB2で戦ううえで……B3もそうだったんですけど、勝つチームがしっかりできているところだと思うんですね。僕が今もずっと言っているのが「遠慮はするな」ということです。言いたいことがあったら言っていいと。実際、今シーズンから新しく加わった選手たちはB2での経験がある選手たちなので、B2を経験していない選手たちに「『こうやったほうがいいよ』っていう話をどんどんしてほしい」と言いました。もちろんそのなかにはチームのコンセプトである「リスペクト」と「ファミリー」の気持ちを持って対応することが大切です。それがないと「なんでできねぇんだよ」ってなってしまう。「リスペクト」や「ファミリー」があれば、言い方も変わってくるし、周りも寄ってきやすい、話しかけやすいと思うんですよね。学校の先生でもたまにいますが、あれやれ、これやれでは生徒も委縮しちゃう。先輩・後輩の関係も同じです。どうしても先輩が言いやすいのが日本のカルチャーだと思うんですけど、そうじゃなくて、後輩からのアイデアを引き出す作業も絶対に必要なんですよね。そうしたコミュニケーションがあるから選手間の「なるほどね。じゃあ、それやってみるわ」みたいなことを、こっちが引き出してあげないといけない。見えない壁をどれだけなくすか。それがチームづくりとして大切なことかなと思います。仲良くなれとまでは言わないけど、それぞれが言いやすい環境を作っていくことが年長の僕の役割だとも思っています。
もはや“先生”のような存在として佐賀に欠かせない小松と、その先生の薫陶を受けながらプロ選手としての一歩を力強く踏み出そうとしている澁田。チームには明確なビジョンがあり、世界を制したコーチがチームを率いる。B2で戦う準備は整っている。一方で、本文にも書いた通り、B2の各チームもコロナ禍の苦しい中で最大限の戦力補強をおこなっている。佐賀の目標達成もけっして一筋縄ではいかないだろう。でもだからこそ、戦いがいがあるというものだ。
“新参者”と侮るなかれ。
風をつかんだバルーンは大空高く舞い上がる。
佐賀バルーナーズ 小松秀平 × 澁田怜音
大空へ、風をつかめ ~佐賀バルーナーズ、B2への挑戦~
part1「道しるべとなった『来シーズンは必ずB2に行く』」
part2「リスペクト、ファミリー、そして謙虚」
part3「これからのガードにはピック&ロールが必須」
part4「佐賀にはB1に上がる力も、魅力もある!」
文 三上太
写真 佐賀バルーナーズ
画像 バスケットボールスピリッツ編集部