── 澁田選手は12月に特別指定選手として入られたわけですが、そこからチームは1敗しかしていません。
澁田 僕が合流して3日後には試合だったんです。フォーメーションもすべてを把握していなかったし、チームのルール、決まり事もすべてを理解していない中で試合に出ることになったんです。それでも秀さん(小松)がコートの中で「ここはこうしたほうがいいよ」とか「このチームではこうしているよ」とか、試合の中で僕がアジャストしやすいように声をかけてくれたんです。秀さんだけじゃなく、佐賀にはそういう選手が多くて、本当になじみやすかったですね。特別指定で入って、大学生とプロとでは当然差があると思うんですけど、そういうなかでも僕を受け入れてくれたのかなっていう雰囲気はありました。
── そういった言葉かけは心強いですね。
澁田 はい。本当にすごくなじみやすかったですし、秀さんは僕だけじゃなく、いろんな選手にそういうことを言ってくれるんです。試合中だけじゃなく、練習のときでも「思ったことがあったら言ってほしい」って。シーズンの途中から入った僕らからすると、プロってみんな大人だからちょっと声をかけづらいんですよね。だからこそ秀さんのそうした言葉っていうのは「あ、なら、ちょっと声をかけてみようかな」って一歩を踏み出せるきっかけになりました。秀さんが先ほど言っていたチームとしてひとつにまとまれたのも、そういうところに要因があったのかなって思います。
── チームは創設2年目、しかも小松選手をはじめ、ルイスヘッドコーチも加入1年目で、いわばチームの文化も作れていない状態だったと思います。そうしたチームがかみ合う状態を作れることが驚きです。
小松 ありがたいことに竹原(哲平社長)さんが「来シーズンは必ずB2に行く」と宣言してくださって、1年を通してそれが変わらなかったことが僕たちにとって道しるべになったんです。途中、よくない時期が来て、5連敗したときも変わらなかった。「目標は変わりません。来シーズンはB2に行きます」と僕たちに言ってくれたので、僕たちの気持ちが切れなかったんです。また僕自身、それまでにプロで11年のキャリアを積んできましたけど、やはりワールドカップのチャンピオンになったコーチってすごいなって思ったんです。スカウティング力ももちろん高くて驚きましたけど、何よりルイスヘッドコーチは自信があるんです。僕はシューターというポジションですけど、やっぱりシューターって余計なことを考えるとシュートが入らないんですよ。でも100%バスケットに集中していると、個人的にも乗るというか、余計なことを考えずに打つだけだったので、そういう環境を作ってもらえたのはルイスヘッドコーチのおかげです。彼だけじゃなく、彼のネットワークでシーズン中にスペインからシューティングコーチが来られて、その方からいただいたアドバイスでも気持ち的に、または技術的に変われたところがありました。それがその約2週間後におこなわれたトライフープ岡山戦でキャリアハイの31得点(3ポイントシュート:9本)という形で自分の成績にも表れたので、自信につながりました。このコーチを信じてやっていけば、必ずいいことが起きると思えて、本当にこのチームを信じるだけでした。そういう意味でも僕はスタッフ、コーチ、そしてチームメイトに恵まれたと思っています。