道しるべとなった「来シーズンは必ずB2に行く」
Bリーグが開幕した2016年以降に創設され、ファーストステップであるBリーグへの準加盟が承認されたクラブは3つある(2020年現在)。ベルテックス静岡とトライフープ岡山、そして佐賀バルーナーズだ。“新参者”ともいえる3チームのうち、いち早く準加盟からBリーグ加盟チーム、つまりはB2へとステップアップしたのは佐賀だった。
しかしその姿はもうひとつ見えてこない。もちろん結果はわかる。新型コロナウィルスの影響でシーズンが途中で終わったとはいえ、プロ・アマ混在のB3リーグを30勝10敗という成績で制し、B2昇格の条件を自らの手でつかみ取った。ヘッドコーチが2019年のワールドカップを制したスペインのアシスタントコーチ、ルイス・ギル・トーレスだと聞けば、そこには世界基準のバスケットがあるのかもしれないと想像を膨らませることもできる。それでもやはり、熱狂的なバスケットファンか、ばるにすた ── 佐賀のファンクラブ名だが、ここでは佐賀のファンを総称して使ってみたい ── でない限り、「佐賀バルーナーズ」というチームは見えてこないのが実情だろう。
佐賀バルーナーズとは一体どんなチームなのか。
チーム創設の翌年、B3に初めて参戦した2019-2020シーズンに佐賀へと移籍してきた、当時プロ12年目のシーズンを迎えていた小松秀平と、2019年12月に特別指定選手としてチームに加わった澁田怜音に、B3を制した要因やチームの魅力、そして2020-2021シーズン、B2へと挑む意気込みなどを聞いた。
── 昨シーズン(2019-2020)、チームはB3リーグ初参戦でいきなり優勝しました。その要因はどこにあったのでしょう?
小松 簡単なことではありませんでした。成績的には1勝差……上位4チームが混戦していて1勝差で僕たちが勝ったわけですが、コロナの影響で中断したことも含めて、正直なことを言えばラッキーなところもあったと思います。まだ残りが20試合もありましたし、そこでどうなったかわからないところもあるんです。それでも40試合を戦ってきたなかで勝てた要因というのは、チームがひとつになれたことだと思います。佐賀にはB3を初めて経験する選手が多くて、最初のころはお互いの特長をつかむ時間も少なくて、それでもコーチが求めるバスケットを、時間をかけることによってチーム力が上がっていったように感じます。また澁田とエヴァン・イェーツの途中加入も追い風になりました。彼らが来てからほぼ負けていないんです。2人の加入はチームにすごくマッチしたのかなって思います。