part1「『やらんわけにはいかんやろ』故郷で現役復帰した大森勇」より続く
トップリーグを経験した濃いキャラが増加中の岡山県
岡山県のバスケ環境は目覚ましい変化を見せている。「今、玉島北中学が強いです。岡山商科大学附属高等学校には納谷幸二さん(※トヨタ自動車アルバルクやアイシンシーホースで活躍。現在46歳)が、岡山商科大学には元東芝の宇田康利さん(※東芝ブレイブサンダース神奈川で活躍。現在34歳)が指揮を執っています。環太平洋大学女子バスケ部を中川和之さん(※アメリカABAでプレーした経験の持ち主であり、国内でも数々のプロチームで活躍。現在38歳)、男子バスケ部は元小林高校(※男女とも強豪校であり、トップリーグ選手を輩出。トライフープ岡山の前村雄大は同校出身)の森億先生が指導しています。ここ数年の間に、急にキャラが濃くなっていますね(笑)」と岡山出身のスタッフである吉田大貴が話すとおり、トップリーグや全国で活躍してきた方々が勢いを与えている。
一方、「有望な中学生が高校進学とともに県外に出てしまうケースが多い」(吉田)と現状を危惧する。Bリーグクラブライセンスの条件でもあるユースチームをさらに整備しながら、「プロや世界で活躍できる選手を岡山で育てていきたいです」と意欲を見せる。何より、トライフープ岡山は発足当初からスクールに力を入れ、その生徒数は400人以上を誇る。「代表の中島(聡)をはじめ、青少年の育成やバスケを根付かせたい部分に重きを置いていて、クラブとしてもそこを大事にしています」とGMの比留木謙司は明言し、トライフープ岡山の根幹を担うのが育成だ。その本気度を感じるのが、サテライトチームの存在である。
地元企業と二人三脚で支えるサテライトチーム
中島代表とともに「やるからにはちゃんとした育成組織にしたいし、意義のあるものにしたい」と比留木は考え、プロ選手を輩出する環境を創出した。サテライトの門を叩くのは若手選手ばかりではない。「ケガなどによって一度レールを外れてしまった選手が、もう一度プロの舞台に戻るためのきっかけをつかめる役割もあります」。昨シーズンは、前村雄大や福井航介らがトップチーム昇格の実績を残した。「プロ契約を勝ち獲りやすい環境にはある」とメリットを挙げたのは、選手としてともに戦った大森勇である。
「サテライトの選手たちはプロになりたい意識があり、ハングリー精神を持っています。今はトップチームと一緒に練習しており、若い選手たちは刺激を受け、お互いに競争が生まれています」