── ここが成長できたと自分で言えるところはなんでしょう。
チームが今、何を求めているかということをしっかり把握できるようになったことでしょうか。奈良にいたときは自分が得点源の1人だったこともありますが、とにかく自分が攻めときゃいいという感じだったんです。でも、三遠に来てからは今どんなプレーが必要なのか、どんなプレーが有効なのかをもっと考えられるようになりました。
── それは周りをよく見られるようになったということですか?
そうだと思います。オフェンス面だけじゃなくて、ディフェンスでもここはディフェンスでよりプレッシャーをかける時間帯だとか、ゲームの流れを見る力も少しは付いたんじゃないかなあと。それは藤田ヘッドコーチの下で3年間学んだ成果というか、成長させてもらったところだと思っています。
── 自分のストロングポイントを挙げるとしたら?
ストロングポイントですか?自分で挙げるのは難しいですね。うーん(しばらく考えたあと)、やっぱり、味方に気持ちよくシュートを打たせることですかね。
── 鈴木さんのパスの巧さには定評があります。そこは自負しているところですか?
そうですね。パスが巧いかどうかはともかく、パスで周りを生かすことは好きです。でも、だからといってずっとパスを狙っているわけじゃないですよ。スペーシングとかディフェンスの間合いを見て自分が選択するものを変えていくという感じです。うちにはシュートが巧い選手がいっぱいいますから、無理に自分が打たなくていいというのはありますけど、ここは自分が打った方がいいと判断すれば迷わず打ちます。相手とのかけひきの中で常にアドバンテージを取っていたいというのがあるので、さっきも言いましたが、この場面で何が必要なのか、何が求められているのかということは常に考えてやっているつもりです。
── そういったことも含め、三遠では司令塔として不可欠な存在になったわけですが、4年目のシーズンはチームとしても鈴木さん自身としても非常に苦しいシーズンになりました。
そうですね。苦しいシーズンでしたし、さあ、これからというときに中止になったことは残念でもありました。でも、ポジティブにとらえれば、リーグが中止になったことで自分に与えられた時間が増えたと思っています。悪いところをきっちり治し、気持ちを切り替えて新しいシーズンに向かう時間ですね。幸い最近は腰の調子も非常に良くなってきて、ようやく思いっきりプレーできる一定の場所に来られたなあという感触があります。だから、与えられたこの時間を大事にしっかり使いたいですね。自分がさらに成長するために有効活用したいです(笑)
── 来シーズンは開幕から思いっきり走りたいですね。
走りたいですねぇ。僕は来シーズンどれだけできるかによって自分のキャリアが決まってくると考えています。だから、そのためにも今やるべきことは全力でプレーできるコンディションを目指すこと。まずはそれを叶えて、力強くチームを引っ張る姿を見せたいと思っています。
三遠ネオフェニックス #15 鈴木達也
長いトンネルを抜けて向かう場所
part1「コートの中から“不安”が伝わって来た」
part2「終盤の2試合には手ごたえを感じることができた」
part3「来シーズンどれだけできるかによって自分のキャリアは決まる」
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE
画像 バスケットボールスピリッツ編集部