part1「コートの中から“不安”が伝わって来た」より続く
12月7日のレバンガ北海道戦で戦列復帰した鈴木だったが、年が明けた1月25日の千葉ジェッツ戦で再び腰に痛みを覚え、翌日の2戦目は欠場となる。その穴を埋めるように登場したのは特別指定選手として加入した福岡第一高校の河村勇輝だ。25日のデビュー戦は22分出場、翌26日はチームハイの21得点を稼ぐ活躍で場内を沸かせた。チームが足踏み状態にあることに変わりはなかったが、河村のアグレッシブなプレーが三遠の重苦しい空気の中に新しい風を吹きこんだことは間違いないだろう。迎えた先輩たちは一様に18歳の河村を「頼もしい存在」と称えた。しかし、いつまでも若い河村に頼ってはいられない。プロとして、同じポイントガードとして、鈴木の胸にあったのは『このシーズン、自分もこのままでは終われない』という強い思いだったのではないだろうか。
終盤の2試合には手ごたえを感じることができた
── 特別指定選手として加入した河村勇輝選手がみんなから可愛がられていたという話が出ましたが、コートの中の河村選手を見てどんな感想を持たれましたか?
彼の技術というのは本当に高校生離れしていて、それについては自信を持っていいと思います。でも、よく見るともっとできる部分はたくさんあるんですね。のびしろはまだまだ大きいですよ。彼自身高校生でありながらプロの舞台に立ったのはすごく大きな経験になったと思いますが、これに満足することなくこれからも上を目指してほしいです。日の丸を背負うような選手になってほしいと思います。
── 先輩ポイントガードとしてアドバイスするようなことはあったのですか。
まあ、プレー面のアドバイスをすることはありました。彼は素直だし、オフコートでは本当に「ああ高校生なんだなあ」という感じ(笑)。いっしょにやっていて楽しかったですよ。
── あらためて振り返ると、10連敗を喫したところでブライアン・ロウサムヘッドコーチが退任となり、後任として河村修斗アソシエイトヘッドコーチが指揮を執ることになりました。チームとして試行錯誤する時間も長かったと思いますが、そんな中で改善されてきたなと感じるようなことはありましたか?
いろいろ時間はかかったんですが、コロナでリーグが中止になる前の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの2戦目、最後の試合となった富山グラウジーズ戦の2戦目は戦っていて手ごたえを感じました。両方とも1勝1敗だったんですが、1戦目に負けても2戦目に立て直して勝つことができたのは大きかったと思います。実はその数週間前から新しいスタッフが入ってくれたんですね。セルビアのコーチ(ウラジミール・ヨヴァノヴィッチ氏)がアドバイザーとして来てくれて、すごく細かい部分の指導とともにエナジーを注入してくれたんです。それによってチームがガラリと変わったように感じます。ディフェンスもオフェンスもルールがしっかりできて、練習からこれまでと一味違うチームになってきたのを実感できました。