アスリート一家に育ったナイスガイ
ラベナの父ボンは1992年フィリピンプロリーグのPBAで新人王を獲得した元バスケ選手であり、現在はTNT KaTropaのヘッドコーチを務める。母モジーはバレーボールの元フィリピン代表というトップアスリートを両親に持つ。ラベナと同じアテネオ・デ・マニラ大学のバレーボール部で活躍する妹のダニは母ゆずり。「小さい頃からその背中を見て育ってきた」という自慢の兄キーファーは、昨夏のワールドカップに出場した現役フィリピン代表である。兄からは、「まずは自分らしくいること。そして、自分が日本でプレーするだけではなく、フィリピンを背負っていることを忘れないように」とアドバイスをもらった。アスリート一家に育ったナイスガイという印象を受ける。
桜木花道やデニス・ロッドマンよろしく、真っ赤なヘアスタイルで登場したラベナ。三遠のチームカラーに合わせたのがその理由であり、「赤いユニフォームを着るのはバスケ人生初」という新境地にも心を弾ませていた。
ラベナ獲得は、マーケティング面での効果も期待されている。「三遠地区は在日フィリピン人が多く、浜松市が国内5位、豊橋市が6位。2市だけでも8千人近いがいる」と本郷社長が言うように地の利がある。ラベナも「可能であれば毎試合1千人以上は観に来ていただき、地域を盛り上げていきたいです」と同胞へ向け、早速アピールしていた。フィリピンをはじめ、アジア市場への露出拡大やスポンサー獲得、グッズ販売などを視野に入れている。
アジア枠はbjリーグ時代にも採用され、三遠ではつま先立ちダンクで人気を博した236cmのスン・ミンミンなどすでに実績がある。Bリーグ最年長となった竹田謙(横浜ビー・コルセアーズ)は以前から、アジア枠の必要性を説いていた。日本代表として活躍した経験をもとに、日常からアジアのライバルと対戦する機会を創出することで国際試合に慣れることできるのが要因である。現時点では、中国プロリーグCBAにアジア各国のエース級の選手たちが集まっている。しかしNBA経験者など外国籍選手の質が上がれば、ラベナのように自ずとBリーグを目指すアジアのトップ選手が増えるかもしれない。
三遠に続き、B1に昇格した信州ブレイブウォリアーズもアジア特別枠を使って韓国出身のジェミン・ヤンを獲得した。ラベナ同様、Bリーグからプロキャリアをスタートさせる21歳。アジアのネクストジェネレーションたちが、Bリーグをステップアップさせる起爆剤になりそうだ。
横浜ビー・コルセアーズ 竹田謙/千葉ジェッツ 伊藤俊亮/栃木ブレックス 網野友雄アンバサダー
飲んで熱く語ったバスケLOVE − OT後編:日本代表の強化をホンキで考える時 −(2017年8月掲載)
https://bbspirits.com/bleague/b170822/
文 泉誠一
写真 FIBA.com