50歳の折茂武彦(レバンガ北海道)と43歳の桜木ジェイアールが、ユニフォームを脱いだ。この2人の存在は大きく、本来であればベテランとして崇められる30代半ばの選手たちでさえ、若く感じてしまう。2007年ユニバーシアードで世界4位の好成績をおさめた黄金世代も、気がつけば36歳になっていた。
ようやく年相応に見られ、関西弁のトラッシュトークがさらに威圧感を増すかと期待していた正中岳城が、残念ながら引退を表明した。世界4位メンバーの残る現役選手は、菊地祥平と竹内譲次(ともにアルバルク東京)、竹内公輔(宇都宮ブレックス)、岡田優介(元京都ハンナリーズ)、小野龍猛(信州ブレイブウォリアーズ)、寒竹隼人、そして我らが石崎巧大先生(ともに琉球ゴールデンキングス)である。
プロとアマの立場を超えたところでプレーし、Bリーグ発展に貢献
Bリーグを2連覇し、途中で終わってしまったが今シーズンも強豪ひしめく東地区を制した。チャンピオンチームであるアルバルク東京を牽引した正中キャプテンは、チームスタッフやコーチと面談する機会となった5月14日に引退を決断。「もう自分自身全てをやりきったし、ここでできることはもう何も残っていない、そういうふうに感じたこと」が理由である。
Bリーグはプロバスケットボールリーグである。しかし、A東京(旧トヨタ自動車アルバルク東京)など旧リーグでは実業団チームだった選手の中には、アマチュア契約(※B1は2名以内、B2は5名以内)のままサラリーマンBリーガーとしてのケースも認められていた。正中はその希有な契約をするひとりである。それゆえに、社業に戻るのも時間の問題だった。シーズンオフになればトヨタ自動車側からラブコールが送られるほど、社業の方でも戦力となっていたことはこれまでも耳にしている。
プロ化の波に流されることなく、「トヨタ自動車からアルバルク東京株式会社という会社に出向し、バスケットボールを業務としてプレーさせていただきました。このような環境は誰にでも与えられるものではありません。(社員選手やプロ選手として)いろんな形態によるBリーグでのプレーが幅広く設定されていた中で、プレーさせてもらえる機会が与えられたことに対しては本当にうれしく思っています」とアマチュア契約の道を選択してきた。
そんな出向先では、「アマチュア選手としてプレーしていたわけではございません」と胸を張る。
「アルバルク東京というプロフェッショナルなバスケットボールチームの一員として、同じユニフォームを着てフロアに立っていました。立場を超えたところでプレーし、リーグの発展やバスケットの盛り上がりに対して向き合っていた毎日でした。なので、社員選手というところから見た風景ではなく、(プロ契約の)みんなと同じく、一日一日、一戦一戦、勝ったり負けたりというところに向き合いながらの毎日でした」