── キャプテンとして、佐藤ヘッドコーチとはどんな話をしてチームのスタイルを築いていったのでしょうか?
キャプテンと副キャプテン(藤井祐眞、長谷川技)が、コーチ陣と定期的にミーティングをする機会があります。その中で、賢次さんからシーズンが始まる前に、「この時期はこれを高める」「この時期はこうやってベースを作っていく」という計画が明確に表記されていました。その計画に乗っていけば、優勝できるんだっていうイメージみたいなものはすごく持ちやすかったんですよね。なので、その緻密に練られた計画に感銘を受けた部分もありましたし、本当に練習はきつかったけど納得してスケジュール通りに進んでいるという手応えの中で戦えていました。そういうコミュニケーションは大きかったと思います。
── 篠山選手の復帰とともに、ファジーカス選手と外国籍選手2人を同時起用するビッグラインナップも取り組んでいましたが、練習中から手応えを感じられていたのでは?
新しく入って来たパブロ(アギラール)は本当にバスケIQが高く、ひとつ言えば全部分かってくれるイメージがありました。ニックともすごく息が合っていたし、練習中のスクリメージでも、決められたプレー以外での合わせなど良いものがありました。パブロもまだまだコンディションが上がって行っている段階だったので、このまま行ったら「最後のチャンピオンシップのときはどんなチームになっちゃうんだろう」というのは客観的に見ていても、一緒にやっていてもすごく楽しかったです。すごいチームになったと思いますよ。
── シーズンは途中で終わりましたが、コロナ禍で世界的に自粛生活を強いられる中、プロ選手としてできることを考える時間にもなったかと思いますが?
クラブに対して恩返しができないかと考え、選手たちがスタッフを支援する寄付をしました。また、やっぱり地域に根付くことが一番大事なことです。その中で川崎もいろんなことを取り組んでいます。プレーができないからこそ、バスケを知らない人やスポーツにあまり興味のない人に対し、言い方は悪いかもしれないですが、存在を知ってもらえるチャンスでもあると思っています。今こそ社会貢献活動を行い、支援の輪を広げることがひとつのミッションです。それにプラスして、まだまだ知名度を伸ばしていかなければいけないBリーグにとっては本当にチャンスであり、そこは前向きに、積極的にやるべきだとあらためて感じています。
先日、中村憲剛さんのSNSで川崎フロンターレ(Jリーグ)の選手が多くのサポーターと直接ZOOMでゆっくり話をするのを見ました。川崎でも辻(直人)がオンラインイベント(雷飯応援団 団長・辻直人とおうち座談会)でやっていましたが、自分もゆっくりファンの方と話してみたいです。お客さんが少なかったJBL時代、試合後の出待ちをしてくれているファンの方と2〜30分かけてしゃべっていましたが、あれが楽しかったんですよね。勝っても負けても励ましてくれますし、川崎のファンは今も昔もみんな優しいです。そんなファンとゆっくり話しながら、お互いに元気づけたり、勇気づけたりすることでモチベーションを保てていました。特に、なかなか勝てなかった1年目はそうでしたね。どれだけ負けても待っていてくれて、差し入れをしてくれて、残念だったけど次はがんばってね、という言葉が僕にとっては本当に大きかったです。コロナの影響の中、リモートでいろいろできるようになったわけですから、そういう機会があればおもしろいですね。
part3「ケガをしたときに考えるのは『神様からのお告げ』」へ続く
文・写真 泉誠一
画像 バスケットボールスピリッツ編集部