part1「新戦力や若手の台頭により『プレータイムを奪い合う形がより明確にできあがった』」より続く
Bリーグ2019-20シーズンの川崎ブレイブサンダースは、アシスタントコーチとして北卓也ヘッドコーチ(現GM)を支えてきた佐藤賢次が指揮官となり、スタッフ陣も入れ替わって新たなスタートを切った。佐藤ヘッドコーチは2014年から3年間、日本代表のアシスタントコーチを務めた経験の持ち主でもある。長谷川健志ヘッドコーチとともにアジア大会で銅メダル、2015年のアジアカップではベスト4入りし、翌年のリオオリンピック最終予選への出場権を勝ち獲り、世界への扉を開けた。
篠山竜青も日本代表キャプテンとして昨夏のワールドカップに臨み、そこで痛感した課題をBリーグに落とし込む。しかし、その経験をする少し前から、川崎は世界を視野に入れた改革に取り組んでいた。
世界のスタンダードに近づくためのリーグ改革は「川崎が引っ張った」
── 佐藤ヘッドコーチ体制となり、どんな変化がありましたか?
練習のインテンシティ(強度)がとにかくすごく高くなりました。今シーズンは練習メニューも一新されましたし、その中で常に体をぶつけ合うことと競争を求められているので、本当に全てがガラリと新しいものに変わりました。川崎から日本一を目指すというだけではなく、「アジアや世界での戦いを考えたい」と賢次さんも常に言っていますし、そこを目指した練習になっています。
── 練習中から世界を視野に入れた強化に取り組みはじめ、その後のワールドカップで実際にそのレベルを体験しました。その課題を克服する場にBリーグがならなければならないと警鐘を鳴らした今シーズンでしたが、変化は感じられましたか?
素直に感じているのは、日本代表が肌で体験したことを言葉やプレーで還元できる部分もあるとは思いますが、それよりもやっぱりみんなが見てくれていたと思うんです。Bリーグの選手もコーチ陣もワールドカップの戦いを見たからこそ、それぞれに感じるものがあったはずです。だから、僕らがどうこう言わなくても自然と今シーズンのBリーグは、どのチームもディフェンスがかなり激しくなったと感じていました。その中でも、昨シーズンからガラッとスタイルを変え、ディフェンスの激しさから積み上げていったのが川崎であり、そのスタイルで開幕戦を勝利し、そのまま首位を突っ走ることができました。僕自身がメッセージを伝えてチームやリーグが変わったというよりは、ワールドカップ前から賢次さんはその必要性に気づいていました。昨年7月に今シーズンへ向けて始動したときから川崎は準備し、今のチームのスタイルができあがりました。それは代表メンバーや僕だけではなく、せっかく(スピリッツアウォードで)MVPをいただいたのであえてリーグ全体とは言わず、「川崎が引っ張った」という感じで捉えていただければ良いと思います(笑)。