新型コロナウイルスの猛威により、Bリーグ2019-20シーズンは2/3を消化した時点で中止の決断が下る。中地区を独走し、地区優勝を果たした川崎ブレイブサンダースだが、けっして順風満帆ではなかった。新戦力のマティアス・カルファニが今シーズン絶望となる大きなケガを負い、続けざまにキャプテンの篠山竜青も試合中のアクシデントにより負傷し、精神的支柱を失う。ケガから3ヶ月を経て、3月15日のレバンガ北海道戦で復帰した篠山だったが、それが最後の試合になってしまった。
「終わった後にどうこう言うのはあまり良いことではないですが、みんなが自信満々だったと思います」と手応えを感じていた今シーズンを振り返ってもらおう。
新戦力や若手の台頭により「プレータイムを奪い合う形がより明確にできあがった」
── ケガ人も多かったチーム事情の中、31勝9敗の勝率で終えた今シーズンの結果をどう評価しますか?
チーム全体で言えば、素直に素晴らしいシーズンを送れたと思います。ヘッドコーチが代わり、いろんなことが心機一転新しくなりました。新しいコーチ陣や新しい選手たちも良い意味で新しい風をこのクラブにもたらしてくれて、楽しめたシーズンになったのではないかと思っています。
── 篠山選手自身もケガをし、その後の復帰戦が無観客でしたがどんな心境でしたか?
僕自身は3ヶ月間、復帰に向けて準備をしてきたのでどういう状況であれ、「試合がしたい」という思いが強かったです。リーグの中断期間を経て無観客開催となりましたけど、当時はコロナウイルスの懸念や不安よりも、僕の中では「とにかく早くコートに立ちたい」という思いが一番でした。お客さんはいませんでしたが、久しぶりにコートに立って試合をできたことが本当にうれしかったです。あの復帰戦は無観客だったことも含めて、すごく印象に残る忘れられない試合になったんじゃないかな。ただ、来シーズンも無観客試合がもし続くとなれば、不安な気持ちはあります。
── リハビリ期間中は復帰に向けてどんな準備をしていましたか?
僕がケガをしてから、藤井祐眞がゲームを支配するようなプレーが本当に増えたと思います。彼が得意としているプレーは、ボールをしっかり保持して時間をかけてハイピックやオンボールスクリーンを使い、相手を揺さぶってディフェンスを剥がしていくことで、それにすごく自信を持っていたと思います。チームとしても、それがひとつの形になっていったので、自分が復帰したら祐眞が得意としているスタイルとはまた違うスタイルで、オフェンスやディフェンスを展開できるなっていう自信はありました。僕が出ている時と、祐眞が出ている時でスイッチを入れ替えられることが、チームにとっても厚みになると思っていました。祐眞が活躍すればするほど良い刺激にもなったし、あらためて自分の良さや自分にしかできないものも鮮明に見えてきたので、いろいろイメージをしながら準備していました。