コロナウイルスの影響を受け、シーズン途中で終了を余儀なくされたBリーグ。川崎ブレイブサンダースは中地区1位(31勝9敗)の成績で今シーズンを終えることとなった。振り返れば、チームの3本柱と言われるニック・ファジーカス、辻直人、篠山竜青のうち、辻と篠山がそれぞれケガでコートを離れた時期があったが、その穴を埋めるべくチーム一丸となることで成長できたシーズンだったと言えるだろう。篠山に代わりスタメン起用となった『攻撃型ポイントガード』の藤井祐眞。日本を代表するシューターでありながら、アシストの巧さにも定評がある辻直人。それぞれの持ち味を生かしながら川崎を牽引する2人にこれから目指す自分像について語ってもらった。
※この記事の取材はシーズンの途中終了前、3月10日に行われました
「ポイントガードとしてはまだ勉強することだらけ」(藤井)
── 藤井さんはもともと高いオフェンス力が注目された選手です。藤枝明誠高校時代は2年次のウインターカップで79得点というとてつもない数字を残しました。果敢なドライブで得点を重ねるエースというイメージが強かった藤井さんがポイントガードを任されるようになったのはいつごろでしょうか?
藤井 大学(拓殖大)に入ってからですね。といっても、本格的にやるようになったのは4年生になってからです。それまでは1つ先輩の鈴木達也さん(三遠ネオフェニックス)がメインでやっていたので、交代したとき、たまに1番をやるぐらいでした。
── ずっと2番、3番でプレーしてきたわけですから、苦労するところもあったのではないですか?
藤井 それはありましたね。中でもゲームをコントロールすることはすごく難しかったです。今でもそれは難しいんですけど(笑)。川崎では(篠山)竜青さんが試合中でもベンチでもハーフタイムでも気がついたことをすぐアドバイスしてくれるので助けられています。でも、まあ、正直、今も勉強することだらけですね。
── その中でも少しずつステップアップしている手ごたえはありますか?
藤井 選手として成長できてるなと感じるところはありますが、ポイントガードとしてはそんなにうまくできているとは思えません。たとえば今年の天皇杯のアルバルク東京戦(準々決勝、69-66で勝利)は終盤相手が足に来ているのに対し、自分はまだ体力が残っていたので走ってレイアップを決めることができました。ああいう展開になれば自分の持ち味が発揮できます。でも、当然ハーフコート(の攻防)になるときもあるわけで、そういう場面で相手の弱みをついていけるか、1番有効なプレーをコールできるかというのを考えると、自分はまだ力不足だなと感じるんですね。ゲームの終盤、時間との勝負になった最後のツーポゼッションあたり、そのコントロールがまだまだなあと思います。
── 以前、新潟アルビレックスBBの柏木真介さんにお話を聞いたとき、「最後の10分、5分をいかにコントロールできるか、その時間帯にゲームを支配できるかがポイントガードの力の見せどころであり、それができるのが真のポイントガードだと思う」とおっしゃっていましたが、今の藤井さんの話と重なりますね。
藤井 重なりますね。柏木さんが言われたこと、めちゃくちゃわかります。まさに今、自分に足りない部分、これから身に付けたい部分です。