── 前田選手の理想像は?
前田 もちろんプロとしてやっている以上、日本代表を目指したいですけど、まだまだ実力が足りないですね。でもシューターとして生きるからには、相手に「前田に打たせちゃダメ」って思われるようなシューターになりたいですし……
宇都 それに関してはもうなっているんじゃね?
前田 いや、まだまだです。
宇都 うそ? 俺はお前につくとき、シュートしか止めに行かないけどね(笑)。
前田 ハハハ。オフェンスの引き出しももっと増やしていきたいし、ディフェンスでも今までインサイドのポジションを守ることが多かったので、アウトサイドのディフェンスは改善しなければいけません。背を向けて攻めてくる選手に対して、コンタクトで耐えることは大丈夫なんです。だけどスクリーンを抜ける動きなどはまだまだできていません。そこは課題ですね。まだまだ伸びるチャンスはあると思っています。
2人の対談はBリーグが無観客でのリーグ戦を再開した翌週、まだポストシーズンを含めた全試合の中止が決まる前の3月18日におこなわれた。
2人の話を聞いて、自身の哲学を貫き、強気な姿勢でチームをけん引する宇都直輝と、可能性を開花させはじめた前田悟の、リーグ終盤での活躍を期待せずにはいられなかった。新型コロナウィルスの影響で今シーズンの中止が決まり、その雄姿は見られなかったが、来シーズン、彼らのさらなる飛躍を期待したい。
富山グラウジーズ 宇都直輝 × 前田悟
変化の先にある進化へ
part1「富山のツートップが語る進化への道程」
part2「エースへの扉が開かれる瞬間」
part3「情熱が生む稀有なメンタリティー」
part4「日本で一番のガードと、危険なシューターへ」
文 三上太
写真 安井麻実