part1「富山のツートップが語る進化への道程」より続く
エースへの扉が開かれる瞬間
オールラウンダーから司令塔へ舵を切った宇都直輝と、チーム事情から自身が求めていたポジションをなかなか与えられず、プロに近づくにつれてそこから解放された前田悟。富山グラウジーズをけん引する2人による対談の第2話は、シューターとして開花し始めた前田選手の成長ぶりの話から、徐々にエース論へとシフトしていく───
── 前回、前田選手はインサイドを経たことでアウトサイドに出ることの難しさを話していましたが、具体的にはどういうところですか?
前田 いやぁ、たくさんありましたね。大学のときは本当にたくさん苦労しました。5年間、3ポイントシュートを打っていなかったし、それまでもけっしてクイックでは打てていなかったから、また打ち始めたときもどうしてもモーションが遅くなってブロックされることもあったし、常に悩んでしましたね。
── どう乗り越えたんですか?
前田 もう練習するしかないなって。僕は能力がすごく高いわけじゃないし、クイックネスもあるわけじゃない。ドリブルだってすごくうまいわけじゃなかったんだけど、それでも自分の生きる道はシュートだって思っていたので、シュートについては本当にたくさん練習をして、コーチに聞きに行ったりしていました。
── 今はクイックで打てているように見えますが、何がどう変化してきたのでしょう?
前田 技術的なことで言えば、“腱”で打てるようになったことです。ヒザをしっかり曲げて打つのではなく、脚の“腱”で打てるようになったのは、僕としては大きいのかなと思っています。
── 青山学院大といえばトレーニングをしっかりするイメージがありますが、その成果だと。
前田 もちろんトレーニングもありますし、あとは練習を重ねて身につけたって感じですね。僕はNBAだとクレイ・トンプソン(ゴールデンステイト・ウォーリアーズ)が好きなんです。彼はあまりヒザを曲げないで、腱で打っているので、よく映像などを見て、それをイメージしていました。
── そうした前田選手の変化を宇都選手はどう見ていましたか?
宇都 ないですかね(笑)。
前田 ええ(笑)? でも富山に入ってきたときはもうクイックで打っていましたからね。
宇都 成長していないのかなぁ……