part3「シューターの10分の1、コンバートの1分の1」より続く
読者に問う。永吉が“グリーン”なら、KJは?
3ポイントシュートへの話を深めていけばいくほど、生粋のシューターと、まだまだ新規参入中という立場の違いはあるにせよ、松井啓十郎と永吉佑也(京都ハンナリーズ)の言葉は熱を帯びていく。
松井が言うように40%を超える確率が“シューター”としてのボーダーラインならば、永吉はまだその域には達していないが、その先に彼の可能性も見えてくる。
対談の最終回はプロとなった彼らが目指す今の理想像について───。
── 小さいときはプロになることが1つの目標であったと思います。プロになった今、お二人は何を目指していますか? キャリアを終えるまでにどういう選手になっていきたいと考えていますか?
松井 僕は今、3ポイントシュートがメインで得点を取っていますけど、2ポイントのシュート本数を増やして得点を取ることと、一番の課題はファウルをもらうことかな。ファウルをもらう技術はシューターにとっても、すごくプラスなんです。なぜかというと、ファウルをもらえない選手っていうのは、ディフェンスからするとすごくプレッシャーをかけやすいから。逆にファウルをもらうのがうまい選手ってディフェンスとしても守りづらい。プレッシャーもかけられないし、かといって間合いを開けると打たれてしまう。たとえば金丸(晃輔。シーホース三河)って2ポイントシュートも、3ポイントシュートもうまいけど、フリースローももらっている。だから彼は止めづらいんだと思います。僕は彼と2年間一緒にいて、練習でもすごく止めづらい選手だなって思っていました。だから僕の今の目標はファウルをもらうこと。フリースローでさらに得点を稼げれば、もう少しコンプリートな、シュートに特化した選手になれるのかなって思います。
── ファウルをもらうのがうまい選手って何が違うんでしょう?
松井 それがわかっていれば、たぶん、もっとファウルをもらえていると思うんですけどね(笑)。ただ、そのためには表現力が必要なのかもしれないし、あとは予測かな。こうすればディフェンスはこう動くだろうから、さらにこう動けばファウルがもらえる……こっちにステップを踏めば、そっちに来るだろうから、そのとき体のここを当てればファウルになるだろうとか。ディフェンスが何をしてくるかを予測できるからファウルをもらえるんだと思います。逆に言えば、僕はまだそこまで読めていないのかな。ここが空いているから、そこに行っちゃおう。空いているから、打っちゃおうという感じで、もう一歩先の読みが足りていないからファウルをもらえないのかなって思います。