リバウンドに積極的に絡んでチャンスを広げていった澤邉のプレーもまた、スタッツに現れない『がんばり』を評価する『Grind!』である。「これまではボールウォッチャーになっていたが、最近はルーズボールにも積極的に飛び込めるようになっているので続けて欲しい」と桶谷ヘッドコーチは評価する。月野が戦線離脱していた期間は、ポイントガードも経験できた。「周りを見られるようになり、それが今も生きていると思います」という澤邉は、着実にプレーの幅を広げている。
「B2で通用できている部分もB1では難しくなることも分かっています」
2年間で13試合、29分間しか出場機会はなかったが、2シーズン前までは大阪エヴェッサの一員だった。肌で感じたB1と比較すれば「レベルの差があり、全然違います。今、B2で通用できている部分もB1では難しくなることも分かっています」と現実を把握している。だからこそ「しっかりここで経験を積んで、いつかB1の舞台に立ち、そこでも通用できるプレーヤーに絶対なりたい。そのためにも細かいところが大事になってくるので、ミスを減らしていかないといけません」と2年間経験してきたレベルに照準を合わせ、努力し続ける。
澤邉の活躍に対し、対戦相手も対応しはじめている。桶谷ヘッドコーチは「少しずつ良さが消されてきているので、さらなるプラスαが必要である。スカウトされたときに何をカウンターとして出すかが、今後生き残るためにも必要になる。良い判断ができるようになれば、相手にとっては本当にイヤな選手になり守りにくくなる」と期待し、ひと回り大きく成長できるチャンスを迎えている。
今週末からのホーム4連戦が鍵を握ることを桶谷ヘッドコーチも、志村GMも声を揃えた。澤邉も、「まずは次の西宮(ストークス)との2連戦をしっかり取ることが大事になります。その後に対戦する信州(ブレイブウォリアーズ)とは、現在3ゲーム差があります。ここで2連勝し、直接対決での結果を3勝1敗にしておけば、同率で並んだときに上に立てる状況を作っておきたいです。ホームゲームなので、この4試合は絶対に落とせないです」と気合いを込める。
B1昇格は、今後のライセンス審査によってどうなるかは分からない。「それは会社に任せています」という澤邉が見据える先は、B2制覇だけだ。
文・写真 泉誠一